こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ドン・ジョン

otello2014-03-20

ドン・ジョン Don Jon

監督 ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演 ジョセフ・ゴードン=レビット/スカーレット・ヨハンソン/ジュリアン・ムーア/トニー・ダンザ/ロブ・ブラウン
ナンバー 64
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

リアルな女の肉体よりもパソコンで見るエロ動画のほうが劣情を刺激する。それは至極の解放感となって彼をとらえて離さない。金髪セクシーな上、気立てもいいガールフレンドを見つけても、主人公の性癖は収まるどころかエスカレートしていく。物語は都会的なライフスタイルに浸かったイケメン男が、真実の愛とセックスを探して彷徨する姿を描く。何とかデートに誘い出し必死で口説いているうちは彼女に夢中になれたのに、一度寝てしまうと期待とは違い落胆する。そしてついポルノ映像で性欲を満たす彼はネット世代の象徴。彼こそポルノが手軽に見られるようになった時代の鬼っ子なのだ。

独身生活を謳歌するジョンはクラブで完璧な美女・バーバラをナンパする。ほどなく付き合い始めるが、彼女は身持ちが固くいつも寸止めを喰らってばかり。やっとベッドを共にしても、物足りなさを感じてしまう。

ポルノ動画の中では身を絡ませた男女が様々な体位やプレイにチャレンジしている。これぞジョンが求めている快楽。だが、現実には過激な要望に応えてくれる女はおらず、結局正常位しか許してもらえない。美人のマグロを抱くくらいなら自由に妄想を膨らませられるポルノのほうが楽しい。そんなジョンの気持ちを嫌悪するバーバラ。ふたりともコミュニケーション能力は足りている、それでもお互いを忖度するまでには至らない。彼らの狭量は若さゆえの未熟なのか、理解し合う努力をしないあたりが、すぐに“出会える”現代の若者らしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方で、夜間学校でエスターというおばさんと知り合ったジョンは、どこか孤独を抱えた彼女に惹かれていく。彼女はジョンが初めて外見より内面に興味を持った女、ポルノ癖にも鷹揚に構えている。エスターを通じ、自分の欲望を叶えるのではなく、相手の願望を察し、喜ばせることを己の喜びとする、それが真の人間関係であると学ぶジョン。でもやっぱりポルノ鑑賞を止めそうにないところに皮肉が効いていた。男ってそういうものだから。。。

オススメ度 ★★*

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