こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ネイチャー

otello2014-03-22

ネイチャー Enchanted Kingdom 3D

監督 ニール・ナイチンゲール パトリック・モリス
出演
ナンバー 66
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

大地を潤し草木を育みあらゆる命の源となる、水。恵まれた地域では多種多様な動植物が繁栄し、希少な地域でも乾燥と日差しに耐えられるように進化した生き物が生息する。映画は熱帯雨林、火山湖、砂漠、草原、サンゴ礁、高山地帯、大河流域とアフリカ各地に現存する人間の生活圏から隔絶された秘境で暮らす動物たちの生態を追う。食べて寝て子孫を残す、ひたすら本能に従ってサバイバルする彼らの日々は極めてシンプルだ。だが、“生きる”とは生存競争を勝ち抜くこと、それこそが崇高な行為であると思わせる美しさを放つ。そして、これらの営みを撮影するまでの膨大な準備と気の遠くなる忍耐に、次世代に伝えるべき地球の姿を記録しようとする作り手の熱意がほとばしっていた。

一頭のオスに数頭のメスと子供たち、ジャングルのゴリラ一家には食料が豊富にある上に彼らを襲う肉食獣もいない。レンズは神経質なゴリラのすぐ数メートルまで接近し、敵ではないとわからせたうえ素顔に密着する。思索的なまなざしから楽しい気分まで、さまざまな表情を見せる彼らは知性や感情を持っているのだろう。しかし決して他者を歓迎してはおらず、自分たちの楽園にこれ以上足を踏み入れるなという警告を発しているかのようだ。

また、夜はすべてが凍てつくまでに気温が下がる高原に住むヒヒは、岩場に巣を作り日の出と共に日光を浴び体温を上げる。天敵から逃れるために不毛の地に進出し、見事に過酷な環境に順応し個体数を増やしている。そこに至る過程で彼らの祖先がどれほどの試行錯誤を繰り返したのか、数千年・数万年の時間の流れを感じさせる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その他、カメレオンが長い舌で虫を捕え、ライオンがゾウの背中に爪を立てて倒し、水中のワニがヌーに食らいつくなど、弱肉強食の“決定的瞬間”も多数おさめられ、細部までクリアな高精細の3D映像は大自然の鮮やかな色彩を忠実に再現しつつ圧倒的な臨場感を味あわせてくれた。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓