こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

神様のカルテ2

otello2014-03-28

神様のカルテ2

監督 深川栄洋
出演 櫻井翔/宮崎あおい/藤原竜也/要潤/吉瀬美智子/原田泰造/濱田岳/吹石一恵/西岡徳馬/池脇千鶴/市毛良枝/柄本明
ナンバー 73
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

当直の日に限って救急搬送の患者が引きも切らず、仮眠をとる間もないほど忙しい。年に数度の休日に妻と出かけても、受け持つ患者の様態が少しでも悪化すると呼び出しがかかる。自らの生活を犠牲にして心身を削りながら働き詰める青年は、他人の人生を預かる医師という職業に就く者にとって一番大切なものは何かと模索する。物語は、余命わずかな先輩医師や、子育てと仕事の板挟みになった同僚医師と時間を共にする主人公の葛藤と成長を描く。峻険な山並みに囲まれた満天の星空が拝める街で繰り広げられる愛と命のエピソードの数々はファンタジーととらえるべきなのだろう、善意と良心にあふれているからこそ苦悩する登場人物を見守りたくなる。

一止が勤務する病院に大学時代の親友・辰也が赴任してくる。優秀で熱心だった辰也は、今は残業を厭う変わり者になっていた。一方、一止の先輩医師・貫田が悪性リンパ腫に倒れ、辰也が主治医となる。

かつては同じ道を志したのに、医療に対する考え方が全く違ってしまった2人。幼い娘の面倒をひとりで見なければならない辰也の陰で、彼の妻の選択は向上心を失わず一線で働き続けるすべての女性の悩みとなっている。そして追い詰められた彼女を救ってやれなかった呵責が辰也をより頑なにする。激務と家庭を両立させようとがんばりすぎるうちに陥る悪循環、女性の労働環境は医療の現場でもまだまだ整備されていない現実を反映させていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、辰也の事情などまともな病院なら事前に把握してスタッフに根回するはず。その他にも一止が担当するわがままな糖尿病患者の正体が医者だったり、なぜ“屋久杉”が信州に来たのかも疑問。一止が文庫本を読みながら廊下を歩くもの危険だし、貫田が患者のカルテを看護師に断りもなくかき回したりする。映像は美しく繊細なのに、それらディテールがおろそかゆえに作品世界に入り込めなかった。一止のもったいぶった文語調の話し方が少なくなったのはよかったが。。。

オススメ度 ★★

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