こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

1/11  じゅういちぶんのいち

otello2014-04-08

1/11 じゅういちぶんのいち

監督 片岡翔
出演 池岡亮介/竹富聖花/工藤阿須加/阿久津愼太郎/上野優華
ナンバー 49
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

遠い日に幼馴染と交わした約束は時の流れと共に忘れてしまったけれど、偶然出会った少女が思い出させてくれた。そして、人生に挫折した少年はボールを蹴っているだけで夢中になれたころの純粋な気持ちを取り戻すために、有志を募ろうとする。彼の熱い思いに共感した生徒たちもまた、自らの進む道を模索する過程で心の声に従う選択をする。物語はそんな高校生たちのサッカーに対する情熱を描く。放課後のグランド、陽だまりの教室、夕暮れの河川敷といった青春ドラマの定番となった風景が余情たっぷりの映像に紡ぎこまれている。

サッカー部を新設したソラは女子マネージャーの仁菜と共に部員集めに奔走する日々。やがて元ユースチーム出身で演劇部の瞬と野球部の補欠だったイケメンの凜哉が入部、彼らもまた克服すべき過去との葛藤に苦しんでいた。

サッカーの才能を否定された瞬は打ち込めるものを探して演劇部に入るが、ここも自分の居場所ではないと感じている。中学時代人一倍練習したのに試合に出られなかった凜哉は懸命に頑張っても何も報われないと努力から逃げている。2人ともソラのサッカーへのひたむきな姿勢が鬱陶しいがうらやましくもある。特にニヒルを気取り、下校部仲間とソラたちの一途さをバカにしていた凜哉が己の胸の奥に封印していた本心に目覚めるシーンは、やっと真剣に向き合えることに巡り合えた喜びの輝きに満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ並行して語られる、仁菜が抱える父親との軋轢、カメラオタク少女の不思議な存在感、演劇部部長の大人びた理屈っぽさといったエピソードはいかにも平板。四季という天才サッカー少女とソラの絡みが唯一映画らしい仕掛けだったが、必然の運命を知ってもう一度夢を追いかける勇気を持ったソラの感情を盛り上げるところまでには至らず、物足りなさばかりが残る作品となってしまった。

オススメ度 ★★

↓公式サイト↓