こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

クローズEXPLODE

otello2014-04-15

クローズEXPLODE

監督 豊田利晃
出演 東出昌大/早乙女太一/勝地涼/KENZO/やべきょうすけ/深水元基/ELLY/岩田剛典/永山絢斗/柳楽優弥
ナンバー 87
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

目が合えば必ず喧嘩腰、なめられないように啖呵を切る。腕っ節だけが唯一の価値、勝った者が正義というのが唯一のルール。新学期、群雄割拠する様々な派閥と個人が空席になった番長の座を究めるために策略を練り、殴りあいを繰り返す。そんな高校に現れた伝説の一匹狼は、降りかかる火の粉は振り払っても誰ともつるまず孤高を貫こうとする。物語は、弱小グループにスカウトされた主人公が心ならずも“頂点”争いに巻き込まれ、いつしか仲間を思う気持ちを育てていく姿を描く。その過程で校内事情にとどまらず、ライバル校との呉越同舟、暴走族との抗争を絡め、複雑多岐にわたる人間関係が入り組んで映画は混沌を極める。だが、ただただ己の強さを確かめたい、力の限り暴れまわりたい高校生たちの単純な動機が爆発的なエネルギーとなった映像は、奇妙なカタルシスを生む。

鈴蘭高校に転校してきた旋風雄を担ぎ上げたい小岐須グループは、実力ナンバー1の強羅の動向を探る日々。同時にヤクザの下働きをする藤原が暴走族を率いて不良狩りを始め、強羅も襲われる。危機感を覚えた鈴蘭生徒たちは旋風雄を中心に団結する。

一方で藤原の過去や謎の新入生・加賀美、中古車屋のオッサンとヤクザの因縁などが盛り込まれる。みなキャラ立ちしているので混乱はないが、人物像に深みがなく雑然とした感はぬぐいきれない。救いは、高校生たちは卑怯な手段で相手を倒すことを潔しとせず、あくまで拳で決着をつけようとするところだ。渾身の力を込めたパンチやキックが炸裂するたびに肉が窪み骨がきしむ荒っぽいシーンの連続にもかかわらず、どこかスポーツを見ているような清々しさが漂っていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

凶相をさらに歪ませ狂暴な本能をむき出しにする強羅に扮した柳楽優弥と、お調子者で義理人情に篤い知略家の小岐須を軽妙に演じた勝地涼が強烈なインパクトを残すのに対し、寡黙な旋風雄役の東出昌大がどうしても単調に見えてしまうのが難点。怒りや哀しみを背中で表現できる俳優になってほしい。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓