こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミスターGO!

otello2014-04-24

ミスターGO!

監督 キム・ヨンファ
出演 シュー・チャオ/ソン・ドンイル/キム・ガンウ/オダギリジョー
ナンバー 95
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

剛速球も変化球もすべてジャストミート、マウンドから転がした球も大きく外した敬遠球もスタンドに放り込む。被本塁打を防ぐには制限時間内に投げずに四球にするしかない。桁外れの巨体と人間の20倍のパワーで打ちまくるのはゴリラ、その常識はずれな設定が非常に痛快だ。物語はサーカスで野球を仕込まれたゴリラがセンスを買われてプロ野球界にデビュー、打者としてプレーする姿を描く。外見とは裏腹に心は繊細、信頼する飼い主以外の命令は聞かない、でも実は年老いてヒザに故障を抱えている。そんなゴリラをめぐって様々な人間の思惑が交差し、所詮は“カネのなる木”という目でしか見ない男たちの視線の中で懸命に生き抜こうとする少女とゴリラが健気だ。彼らの半生を丁寧に綴ったプロローグがおとぎ話の雰囲気を楽しませてくれる。

借金に苦しむサーカス団のウェイウェイは野球の芸をするゴリラ・リンリンと共に韓国の弱小球団にスカウトされる。Mr.GOと名付けられたリンリンはウェイウェイの合図でホームランを量産、チームはたちまち順位を上げ日本球界からも注目される。

地を這う送球、ランナーの息遣いまで感じる走塁、選手やボールの視点で変幻自在に動き回るカメラワークはめくるめく臨場感を味あわせてくれる。それら試合のシーンはエキサイティングかつスリリング、あえてCGっぽくしたことでリンリンのバッティングにもファンタジー感が漂い、むしろリアリティを超えたスーパーヒーローの荒唐無稽な大活躍に拍手を送りたくなるほど。ウェイウェイを演じるシュー・チャオのチャーミングな笑顔と完璧なコンビを成していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

しかし、ヒザの悪化でリンリンは歩行困難になり、ウェイウェイは初めて自分がリンリンの気持ちを全く理解していなかったと知る。さらにエージェントと日本球界との駆け引きといったドタバタ劇も交え、ライバルのゴリラ投手との対戦に挑む。その過程で日本人に土下座させるシーンだけは、韓国人の反日感情を見せられるようで不快だった。。。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓