こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

悪夢ちゃん The 夢ovie

otello2014-05-07

悪夢ちゃん The 夢ovie

監督 佐久間紀佳
出演 北川景子/GACKT/優香/木村真那月/小日向文世/六角精児/本上まなみ/佐藤隆太
ナンバー 104
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

自分の未来は自分で変えられないが他人の未来は変えられる。そう口にする少年はクラスメイトを操り、ひとりの男と家族の人生を狂わせていく。そんな転校生を受け入れたクラス担任と不吉な予知夢を見る少女が、力を合わせて彼の悪意の根源に迫る。夢をデータ化して映像化する機械、クラス全体で共有された無意識、困っている友達への思いやり。先進科学と教育現場の現状をシンクロさせた構成は思春期の子供たちの心の中をのぞき見るような混沌、夢となって表出した潜在意識の願望が巧みなCGで再現される。

夢の中で王子にキスをせがむ結衣子は、転校生の完司がその王子にそっくりだったのに驚きながらも恋をする。しばらくして彩未先生のクラスに馴染んだ完司は、クラスメイトの父が経営するハム焼き店を数人の女子に手伝わせ、店を繁盛させる。

完司はトラック運転手の父と二人暮らし、家庭訪問に出向いた彩未は生活環境に問題はないかと父親の素性を調べる。一方で、最初は不安定な状態から刃物と振り回していた完司も彩未や結衣子とかかわるうちに徐々に角が取れていく。だが、それぞれが自己主張するクラスの子供たちの中で本来ヒロインであるはずの結衣子のキャラクターが埋没してしまい、彼女の夢を研究する大人たちとの関わりが弱くなっている。たとえば、初恋の相手が大事件を起こした悪童である事実に苦悩する姿が描かれれば結衣子の気持ちに共感できるのだが、映画は大仰な演技と耳をつんざく金切声の連発で中途半端なコメディ路線を走り、登場人物の繊細な感情に触れようとはしない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて完司は夢の光景を追って封印した記憶と対峙する。そこで明らかになる忌まわしい完司の過去と、母の思い。ただ、トラウマの原因を解き明かすことで健全な精神を取り戻すという展開は、いかにもとってつけたようなわざとらしさが漂う。いずれにせよ、人を殺し食中毒騒を起こした張本人に対して物分かりの良い対応は甘すぎるのではないか。いくら罪を問われぬ小学生とはいえ。。。

オススメ度 ★★

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