こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

薔薇色のブー子

otello2014-06-03

薔薇色のブー子

監督 福田雄一
出演 指原莉乃/ユースケ・サンタマリア/ムロツヨシ/鈴木福/田口トモロヲ/三浦理恵子
ナンバー 127
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

気に食わないことがあるとすぐに文句を垂れ、大学生活に馴染めず引きこもりになってしまった女は、少女マンガの世界に逃避しいつか恋の主人公になれると信じている。そんな彼女がネットで知り合った男との初めてのオフ会準備のために早朝から奔走する。映画はデートまでに“理想の自分”に変身するために身だしなみを整えようとするヒロインに降りかかる様々な災厄を描く。つい他人の粗さがしをしてしまう性格を変えるために、頼み事は断らず困っている人には手を貸す彼女が、不運のスパイラルに落ちていく姿は不条理な脱力感がたっぷり。ヘン顔も下ネタも不器用に熱演する指原莉乃のはじけぶりがシュールな笑いを誘う。

不服ばかりでブー子とあだ名されている幸子は、SNSで少女マンガの嗜好を理解してくれるスパロウとのチャットが唯一の慰め。ある日、スパロウと食事に行く約束をした幸子は待ち合わせまでのタイムスケジュールを組む。

朝イチに目撃した黒猫やカラスの群れが暗示する不吉な予感は、ドラマのエキストラになってくれとADに拝み倒されるところから始まり、デパートのキリ番客になったことで現実となる。さらに美容院ではトイプー頭にされた上、下痢をもよおしたりする。ラーメン屋やバスジャック犯以外、それらの小ネタは特に伏線として機能しているわけではなく、ナンセンスな一発芸のオンパレードという感がある。それでも、人生最良になるはずの日に起こる最悪の出来事を怒らずブーたれず切り抜けていく過程で、胸にたまった鬱憤を深呼吸してから対処すれば人間関係は潤滑に進むと悟った幸子は、少しずつ感情をコントロールする術を身に着けて成長していく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一応ストーリーはあるが、ほとんどは幸子の日常とは直接関連のないギャグの連打。そのセンスはまだまだ荒削りで洗練されているとは言い難いが、どんな事態に遭遇しても全力で対応する幸子のエネルギーは、しばしの間、頭をからっぽになるほど楽しませてくれた。

オススメ度 ★★*

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