グレート デイズ！ 夢に挑んだ父と子
De toutes nos forces
監督 ニルス・タベルニエ
出演 ジャック・ガンブラン/アレクサンドラ・ラミー/ファビアン・エロー
ナンバー 130
批評 ネタばれ注意！ 結末に触れています
ゴムボートを曳きながら泳ぎ、二人乗りに改造した自転車のペダルを踏み、車いすを押しながら走る。トライアスロンの中でも最長のアイアンマンレース、普通に完走するだけでも無類のスタミナと不屈の精神力が要求されるのに、主人公は足に重度障害を持つ息子とエントリーする。そしてトレーニングに同伴させて息子の信頼を得て、気の遠くなる距離を進むうちに家族との絆を強固にし、ゴールを目指すことで己の人生を取り戻す。それは息子の介護を妻に任せっきりて家庭を顧みなかった過去への贖罪と自責の念から避けてきた息子への愛が、負け犬で終わりそうになっていた自分との戦いに変貌する過程でもある。親の子に対する心は人間をここまで強くするのかと、改めて考えさせられた。
仕事をクビになったポールは家に寄りつかず、歩けない息子・ジュリアンの世話を妻・クレールに押し付けたまま。ある日、“父子でアイアンマンレース”のニュースを見つけたジュリアンはポールに出場を打診する。
レース経験があるポールは、一度は“無理”と断るが、ジュリアンの熱意に参加を決心する。だが、ジュリアン連れのレースは体力的負担が2倍になり、想像を絶する疲労に襲われる。克服するための特訓に工夫を凝らし目標値をクリアしていくうちに、父子はお互いの理解を深めかけがえのない“相棒”になっていく。夫の再起と息子の成長を見つめるクレールの寂しさと喜びが入り混じった表情が印象的だ。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
山頂の鉄塔で溶接作業をするポール。開放的な山道を自転車で下るポールとジュリアン。上空からとらえたレースのスタート。孤独だったポールが人とのつながりを築き生き方を変えていく象徴となるシーンの画作りが非常に効果的で、美しい映像と登場人物の感情をとらえたカットが彼らの思いを饒舌に物語る。様々な試練を乗り越えて夢を叶える展開は先が読めるが、それでもポールを演じたジャック・ガンブランの、魂と肉体がきしむような息遣いが競技の厳しさと激しい消耗をリアルに伝え、最後まで興味は尽きなかった。
オススメ度 ★★★*
グレート デイズ！ 夢に挑んだ父と子
De toutes nos forces
監督 ニルス・タベルニエ
出演 ジャック・ガンブラン/アレクサンドラ・ラミー/ファビアン・エロー
ナンバー 130
批評 ネタばれ注意！ 結末に触れています
ゴムボートを曳きながら泳ぎ、二人乗りに改造した自転車のペダルを踏み、車いすを押しながら走る。トライアスロンの中でも最長のアイアンマンレース、普通に完走するだけでも無類のスタミナと不屈の精神力が要求されるのに、主人公は足に重度障害を持つ息子とエントリーする。そしてトレーニングに同伴させて息子の信頼を得て、気の遠くなる距離を進むうちに家族との絆を強固にし、ゴールを目指すことで己の人生を取り戻す。それは息子の介護を妻に任せっきりて家庭を顧みなかった過去への贖罪と自責の念から避けてきた息子への愛が、負け犬で終わりそうになっていた自分との戦いに変貌する過程でもある。親の子に対する心は人間をここまで強くするのかと、改めて考えさせられた。
仕事をクビになったポールは家に寄りつかず、歩けない息子・ジュリアンの世話を妻・クレールに押し付けたまま。ある日、“父子でアイアンマンレース”のニュースを見つけたジュリアンはポールに出場を打診する。
レース経験があるポールは、一度は“無理”と断るが、ジュリアンの熱意に参加を決心する。だが、ジュリアン連れのレースは体力的負担が2倍になり、想像を絶する疲労に襲われる。克服するための特訓に工夫を凝らし目標値をクリアしていくうちに、父子はお互いの理解を深めかけがえのない“相棒”になっていく。夫の再起と息子の成長を見つめるクレールの寂しさと喜びが入り混じった表情が印象的だ。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
山頂の鉄塔で溶接作業をするポール。開放的な山道を自転車で下るポールとジュリアン。上空からとらえたレースのスタート。孤独だったポールが人とのつながりを築き生き方を変えていく象徴となるシーンの画作りが非常に効果的で、美しい映像と登場人物の感情をとらえたカットが彼らの思いを饒舌に物語る。様々な試練を乗り越えて夢を叶える展開は先が読めるが、それでもポールを演じたジャック・ガンブランの、魂と肉体がきしむような息遣いが競技の厳しさと激しい消耗をリアルに伝え、最後まで興味は尽きなかった。
オススメ度 ★★★*
