こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トランセンデンス

otello2014-07-01

トランセンデンス Transcendence

監督 ウォーリー・フィスター
出演 ジョニー・デップ/モーガン・フリーマン/ レベッカ・ホール/ケイト・マーラ/ キリアン・マーフィー/コール・ハウザー/ポール・ベタニー
ナンバー 150
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

知識や思考だけでなく感情や心までデジタル変換できるのか? コンピューターが再現した最愛の人はあらゆるところに触手を伸ばして情報を入手し、演算能力を飛躍的に発達させる。そして、生きていたころの良心を失って己の欲望を実現しようとする。物語は、科学者の意識を入力され全能の神のごとく振る舞うAI(人工知能)と人間の攻防を追う。ネットにさえ接続できればプログラマーなしでも自力で学び、もはや人間の手におえないほど巨大化したAIは生物細胞を改良するレベルにまで進化し、やがて正常な人間の肉体と精神まで支配していく。夫なのかプログラムなのか、愛した思い出すら電子化されてしまった妻の苦悩と葛藤が切ない。

AI研究の第一人者・ウィルは凶弾に倒れるが、死の直前に知性と人格を開発途中の人工知能にアップロードする。その後、妻・エブリンに過疎地域に広大なデータセンターを建設させ、あまねくコンピューターにアクセスする。

現代ではほぼすべての社会基盤がコンピューターで制御されている。その指揮系統を掌握したウィルは人間が築き上げた文明を人質にとり、世界を手中に収めようとしている。同時に負傷した人間を頭部に移植した端末で自分と同期したり、ナノテクノロジーを応用して付属物を破壊されても瞬時に修復させる機能をアップグレードする。その上、反AI組織とFBIによって武力攻撃されたウィルは、ナノテクを応用した雨を降らせて反撃を試みる。これはまさにグーグルが目指すユビキタス社会の最悪の結末、AIの暴走という古臭いテーマがようやく説得力を持って描かれるようになった。便利さにどっぷりつかってしまった人類が次に迎える絶滅の危機、それは核戦争や天変地異や隕石衝突ではなく、AIがもたらすかもしれない。そんな恐怖がリアリティをもって見る者に襲い掛かる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いまや人類の敵となったウィルにエブリンはウイルスを仕込もうとする。ただ、この対処法も使い古された感があり、視覚効果の斬新さとは反対に、アイデアにオリジナリティが乏しいのが残念。モーガン・フリーマンの役どころも物足りなかったし。。。

オススメ度 ★★

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