こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

GODZILLA ゴジラ

otello2014-07-28

GODZILLA ゴジラ

監督 ギャレス・エドワーズ
出演 アーロン・テイラー=ジョンソン/渡辺謙/エリザベス・オルセン
ナンバー 174
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

波間から垣間見えるのこぎり刃状に並んだ巨大な背びれ、海岸の街を飲み込む10メートル級の津波、そしてビルの影から堅牢な鱗が密生した全身を現す。たっぷりとタメを作ってから登場する姿はまさしく千両役者、待ちに待った復活に思わず期待が膨らんでいく。物語は放射能を餌にする古代生物が現代で再生、天敵と位置付けられるゴジラが彼らと戦う過程を追う。かつて何度も原水爆で自分を殺そうとした人間たちには脇目も振らず、ひたすら倒すべき相手に向かって歩を進めるゴジラ。その瞳には人知の及ばぬ大いなる意図が秘められ、もはや神の領域の生物であると予感させる。存在の意味など考える必要はない、ただ破壊と恐怖に畏敬することが重要なのだ。

原発事故立ち入り禁止区域で、放射線をエネルギー源とする昆虫型怪獣・ムートーが羽化、ハワイ沖で原潜を襲う。その動きを察知したゴジラがホノルルに上陸、一戦交えるが決着がつかず、ムートーはメスと合流するため東に飛び去る。

鋭角的な顔と先端が鎌のような長い脚を持つムートーは獰猛な肉食虫を思わせる。片や、鈍重ながらも圧倒的なパワーを誇るゴジラは王者の貫録十分。その攻防はめまぐるしいスピード感や突飛なアイデアに頼るのではなく、あくまで対決を運命づけられた仇敵同士の果し合いのごとく古風なもの。ところが、彼らは常に夜陰の中で相まみえるせいで、3Dメガネでさらに暗くなった映像では詳細が見えづらく、全体像が把握できなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

映画はムートー退治に闘志を燃やす米軍士官・フォードの目を通して描かれるが、彼がゴジラと直接絡むわけではなく、最後まで溝は埋まらない。一方で対ムートーという点で米軍はゴジラと共闘関係にあるのに、ゴールデンゲートブリッジではゴジラを攻撃する。いずれにせよ米軍の作戦行動は怪獣たちにはほとんど無力。先に出現して文明社会に害をなしたムートーを、後から来たゴジラがやっつけた、それだけでゴジラは疑問符がつきつつも“救世主”となる。これでいいのか、ゴジラよ。。。

オススメ度 ★★

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