こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アイ・フランケンシュタイン

otello2014-07-29

アイ・フランケンシュタイン I, Frankenstein

監督 スチュアート・ビーティー
出演 アーロン・エッカート/ビル・ナイ/イボンヌ・ストラホフスキー/ミランダ・オットー/ジェイ・コートニー/ソクラティス・オットー/ケイトリン・ステイシー
ナンバー 148
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

命は与えられたが魂は与えられなかった。産みの親に捨てられたった一人で200年以上の時を過ごしてきた怪物は、他者を信じられずひたすら息をひそめて生きている。だが、悪魔が彼の不老不死の秘密を世界征服の陰謀に転用しようとしたことから、彼の運命は一転する。物語は天使と悪魔が覇権を争う現代によみがえった伝説の人造人間が、アイデンティティを求めて彷徨する姿を描く。洗練されたファッションに身を包む悪魔たちとゴシック風の外見の天使、従来の価値観を反転させるビジュアルが斬新で、両勢力の間で翻弄される主人公もまた強靭な肉体と高度な知性を具えているあたりが21世紀的だ。再生医療の研究が進むいま、映画は永遠に生き続ける意味を問う。

フランケンシュタイン博士によって創造された男は、悪魔に襲撃されたところを天使の化身・ガーゴイルに救われる。アダムと名付けられ武器を得て荒野に隠棲するが、やがて自ら悪魔の王子・ナベリアスとの対決を決意する。

天使でも悪魔でもましてや人間でもないアダム。一応感情は持つが、コントロール法を教えてくれる者もおらず、本能に従って近寄るものすべてに牙をむく。天使たちは彼を悪魔に利用されまいと援護するが、仲間とは認めていない。どこにも属さず、だれにも頼れない。そんな中、サイエンティストのテラだけがアダムに理解を示す。この作品では、天使や悪魔などのスピリチュアルな者は利己的で、むしろテラが科学の進歩で社会に貢献しようとする良心の持ち主として描写される。人間の理性こそが未来を変えていくのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、天使や悪魔といった形而上の存在を前面に押し出したために、リアリティのない絵空事に思えてしまうのが残念。たとえばSTAP細胞(?)悪用を目論む地下組織とそれを阻むエージェントたちとの、アダムの身柄をめぐる熾烈な抗争というような展開にしていれば、もっと身近に感じられたはずだ。。。

オススメ度 ★★*

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