こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

劇場版 零 ゼロ

otello2014-08-30

劇場版 零 ゼロ

監督 安里麻里
出演 中条あやみ/森川葵/小島藤子/美山加恋/山谷花澄
ナンバー 197
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

“私の呪いを解いて”。少女の霊は、友人たちの耳元で囁く。だが、呪いの輪は次々とクラスメートに感染し彼女たちを禁断の世界にいざなう。人里離れた高台に建つ全寮制の女子学園、男としての機能を持つ者は立ち入りを許されず、少女たちとシスターたちの間にだけ流れる不思議な交感がよりミステリー色を深めていく。物語は、そんな閉鎖空間で起きた連続失踪・死亡事件の謎をリーダー格の少女が追ううちに、学園に隠されたおぞましい秘密と封印された彼女の過去を暴いていく。ホラーというほど怖くない、恨みというほど強くない。まだ異性の洗礼を受けていない、友情と恋愛の区別がつかずに人を好きになる気持ちを持て余す少女たちの戸惑いと無垢が瑞々しい。

クラスの人気者・アヤは自室にこもったまま授業に出てこなくなる。ある日、アヤに憧れるカスミが姿を消し、カスミの部屋からアヤの写真が発見される。ミチたちはその写真を屋根裏部屋に飾る。

深夜0時ちょうどに好きな人の写真にキスをすれば願いが叶う。しかし、そのおまじないが、今や呪いとなって彼女たちに降り掛かる。霊となって現れるアヤは、その後も生徒集会で集団催眠をかけ、鏡の中からミチをじっと見つめる。感情を押し殺し、上目遣いで無念の思いを伝えるアヤの瞳は、一方で救いを求めているようでもある。囁きの意味が理解できないミチは、混乱しながらも事情通のメリーさんにアドバイスをもらいに行く。そこで知らされた、永遠の絆を誓った少女たちの哀しい運命。古いモノクロ写真に焼き付けられた、耽美な死の誘惑に抗うような忌まわしい生が、この学園に関わった者たちの苦悩を象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして明らかになる殺人事件の真犯人ともう一人のアヤの存在。さらに学園長が背負った愚かな罪。このあたりはやや強引に話が進みつじつまが合わないところも散見するが、なにより、高校生たちが好みそうな“自分たちの学校にまつわる怪談”が、怨念のこもった映像に昇華されていた。

オススメ度 ★★*

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