こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

悪魔は誰だ

otello2014-09-22

悪魔は誰だ

監督 チョン・グンソプ
出演 オム・ジョンファ/キム・サンギョン/ソン・ヨンチャン/チョ・ヒボン
ナンバー 220
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

幼い娘は殺された。身代金は奪われた。容疑者は捕まらなかった。刑事はあきらめろと言った。ただひとり、怒りと悲しみをエネルギーに変えた母は、時効を目前にしてもなお手がかりを求めて街をさ迷い歩く。物語は未解決の少女誘拐殺人事件が同じ手口で再現され、担当だった元刑事が現場に戻って奮闘する姿を描く。巧妙に仕組まれた罠、思い込みと見落とし、声紋鑑定の精度と盲点、二つの誘拐事件・・・。張り巡らされた伏線と意味ありげなショットの中、複雑に絡み合った因果関係が解明されていていくうちに驚愕に真実にたどり着く。油断なのか贖罪なのか、1本の献花から崩れる完全犯罪とそれを見逃さなかった執念。あらゆる人間の業が凝縮されたような濃密な映像は片時も目を離せない。

ハンの孫娘が誘拐され、家族の元に犯人から電話が入る。ところが人質の安否確認から身代金の受け渡し方法まで、かつてチョンホが捜査したハギョンの娘の事件とそっくりだった。チョンホは捜査本部に加わって15年前の汚名を雪ごうとする。

進行中の誘拐事件と並行して、警察が投げ出した娘の事件を単独で追うハギョンの足跡がインサートされる。現在と過去のつながりが仄めかされる中、犯人と目星をつけられたハンは明確なアリバイもなく怪しげな行動を取り続ける。孫を監禁するほど愚かで冷酷には見えない一方で、何か隠し事をしていることは確か。チョンホはハンの容疑を疑うが次々に不利な証拠が挙がっていく。誰もが抱えている秘密と嘘、幼女誘拐という卑劣な犯罪の中でもわずかに残っていた良心。映画はそんな、“悪魔になりきれない人々”の後悔と苦悩に深く切り込んでいく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、身代金の受け取り場所に現れたハンを逮捕した警察は彼を犯人と断定するが、ハンはあくまで否認する。車載カメラの記録、すり減ったタイヤ痕、音声の分析、張り込みと尾行…。謎解きの要素を満載しつつも大胆な設定が意外性を呼ぶ、復讐は誰によってなされるべきか考えさせられる作品だった。

オススメ度 ★★★

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