こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブラック・ハッカー

otello2014-10-04

ブラック・ハッカー OPEN WINDOWS

監督 ナチョ・ビガロンド
出演 イライジャ・ウッド/サーシャ・グレイ/ニール・マスケル
ナンバー 219
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

パソコンの中身をのぞきデータを盗むだけではない。ネットに接続したあらゆる電子機器に潜り込み、巷にあふれるカメラやマイクを操作してターゲットの行動を逐一モニターする。弱点をつかまれた者は姿なき悪意の言いなりになるしかなく、周到に仕組まれた計画に逃げ道をふさがれ、さらなる深みにはまっていく。物語は、女優のファンサイト管理人が甘い誘いに応じたために次々に理不尽な命令を受け、困難な状況に追い込まれていく過程を描く。WEB電話の向こうの敵はどこからでも主人公を見張っている。不気味さともどかしさが不安と恐怖に膨れ上がる一方、憧れの女優の命も守らなければならない。ギリギリの選択を迫られる駆け引きと取引、圧倒的な緊張感を孕んだままパソコン画面上で同時進行する映像は最後まで全力疾走する。

人気女優・ジルとの会食をドタキャンされたニックは、コードと名乗る男からジルの盗撮動画を見せてやると言われ、指示されたURLをクリックする。それはジルのスマホカメラがとらえた世界、その後も盗聴した会話を聞かされる。

自分のパソコンのカメラのみならず、ホテルの監視カメラもコードにハッキングされている。おまけにジルの恋人を襲った録画を盾にされ、警察に通報もできない。唯一ニックを“ネバダ”と呼ぶフランス系のハッカー集団が味方になってくれる。コードの手に落ちたジルを救うため罠と知りつつハンドルを握るニックを支えているのは、わずかに残った正義感とコードに対する怒り。まったく先の読めない運命に向かってニックはアクセルを踏み続ける。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

コードの目的はまたカネや権力ではなく、個人情報を盗み他人を意のままに動かすこと。すべてを支配する神のごとき全能感、そしてそれを得るために全精力を費やす。己の能力を社会のために生かすよりも、自己顕示欲を満たすために使うハッカーのメンタリティが何よりも恐ろしかった。それにしても、ネバダはいつ入れ替わったのだ?

オススメ度 ★★*

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