こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ

otello2014-10-07

ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ

監督 佐久間宣行
出演 劇団ひとり/小木博明/矢作兼/設楽統/日村勇紀
ナンバー 229
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

練り込まれた設定に何も知らされずに突然放り込まれる。頼れるのはアドリブ力のみ、瞬時に状況を判断し、機転を利かせ、入念にリハーサルを重ねている他の出演者たちとのカラミに対応しなければならない。当たり前のリアクションでは飽きられる、オーバーアクションではクサすぎる。求められるのは必然性の中にも意外性が感じられる反応。それを、素顔をちらりと覗かせながらもソツなくこなす劇団ひとりの反射神経と引き出しの多さには脱帽。もちろんある程度の方向性は予想できる、どうすればウケるかも心得ている。それでもヤラセとリアルの虚実皮膜の間を綱渡りするような緊張感に、思わず吹き出してしまった。

高校の校舎の屋上に連れてこられた省吾はそこで多数の死体を発見、亜衣の念動波を浴びて気絶する。保健室で目覚めるとセクシー美女から巨乳愛撫され、クラスメートからいじめられていた亜衣が超能力を発揮する。

時に気障なセリフを口にし、時に執拗なおっぱい攻撃に耐え、湧き上がるムラムラを抑えながら唇を寸止めする省吾。その必死の表情から余裕の態度まで、カメラは余すところなくとらえる。資料によると「撮り直しができない一発本番」で、数台のカメラが省吾を同時に追っている。当然照明や録音も同じ人数必要になるわけで、特に省吾がプールサイドで亜衣と人生を語り合うシーンなど、様々な位置からカメラが移動しながら省吾をとらえていて、“本当に一回で撮ったのか”と疑いたくなるほど。アクション映画に応用すれば斬新な映像ができるにちがいない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

省吾の奮闘をバナナマンおぎやはぎの4人がツッコミを入れながら楽しむという、身内のなれ合い的なゆる〜い空気が充満した映画なのだが、一方で省吾も受け身の演技ばかりではなく役者たちが想定していない展開に持っていこうと逆襲を試みたりする。“父ネタ”における近藤芳正の、戸惑いつつも芝居を壊さない忍耐力にプロ根性を見た。

オススメ度 ★★*

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