イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 IF I STAY
監督 R・J・カトラー
出演 クロエ・グレース・モレッツ/ミレイユ・イーノス/ ジョシュア・レナード/ジェイミー・ブラックリー/リアナ・リベラト/ステイシー・キーチ
ナンバー 241
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
ちょっと変わったアドバイスでいつも励ましてくれたママは即死だった。私のために夢を諦めたパパも手術の後で力尽きた。かわいがっていた幼い弟まで様態が急変した。息があるのは私ひとり、でも重傷を負った肉体はいまだに昏睡状態から覚めないまま。物語は重大な交通事故に遭った高校生の少女が、生と死の境界線上で自分の過去を顧みるとともに、駆けつけてくれた親戚や友人の思いを知る姿を描く。短い一生だったけれど思い出は楽しかったことうれしかったことばかり。ボーイフレンドと喧嘩別れしたままなのは心残りだが、こんなにもたくさんの人々が心配してくれている。“死”の先にあるのは永遠の安らぎ、それを受け入れても責められはしない。その上で、愛が生きる勇気を導くとこの作品は訴える。
家族とドライブ中に対向車と正面衝突したミア、幽体離脱した魂は病院に救急搬送され手当てを受ける一部始終を見守る。同時に、両親や親友、恋人との記憶がプレイバックされ、いかに素晴らしい人生だったかをかみしめる。
チェロの才能に恵まれたミアは演奏家を目指し練習に励む日々を送りつつ、イケメンロッカーのアダムにも言い寄られ、高校生活は充実している。決して燃え上がるような恋ではない、それでも一緒にいるだけで心が落ち着く。あくまで控えめなミアは、派手な学園生活よりも身近な人間関係を大切にし、アダムとの交際にも良識を働かせている。死を間近にして脳裏に浮かぶ何気ない光景、そんな平凡な日常こそが幸福の本質なのだ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、ミアが深刻な挫折や苦悩の経験なく育ってきたため、振り返った過ぎし日にも見舞い客の証言にも“衝撃の真実”といえるほどの驚きはなく、あまりひねりのない展開。本当の試練はこれからの未来で待ち受けている、くじけそうになったら愛されていたことを忘れずに立ち向かえというメッセージは理解できたが、なんかもう少し映画らしい仕掛けが欲しかった。
オススメ度 ★★