こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

121212 ニューヨーク、奇跡のライブ

otello2014-11-14

121212 ニューヨーク、奇跡のライブ

監督 アミール・バーレフ/チャーリー・ライトニング
出演 ザ・ローリング・ストーンズ/ザ・フー/エリック・クラプトン
ナンバー 259
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

コンサートのプロデューサー、動画サイトの創業者、TV局のディレクター、ラジオ局の制作者、IT企業の経営者etc. おそらく普段は“強欲”と呼ばれる手段で競争を勝ち抜き、業界トップクラスの地位を築いてきた男たちが一堂に会する。議題は数週間後に急遽開催が決まったチャリティーコンサート。準備期間は極めて短いが、援助を必要としている人が待っている。カネ儲けではない善意からの行動、駆け引きも足の引っ張り合いもない。各界の実力者が本気になれば物事はとんとん拍子に進んでいく。だからこそ失敗は許されない。映画はそんな緊張感たっぷりの舞台裏にもカメラを持ち込み、2012年12月12日の本番に臨む人々の姿をスケッチする。

ハリケーン襲来で甚大な被害を受けた米国東海岸。NYも街中が停電するなどの都市機能がマヒする。ブルース・スプリングスティーン、ボン・ジョビ、ビリー・ジョエルらが音楽の力で復興を呼びかける。

ネットで寄付を受け付けるサイトのサーバーがダウンした時、総合プロデューサーは“この間の損失は君に穴埋めしてもらう”と責任者にきつく詰め寄るシーンがあるが、チャリティーであっても請け負った以上、結果が求められるのだ。その場にいたグーグルの重役が電話1本でトラブルを解決してしまうのも、いかにもトップダウンが当たり前の米国流。一方で、ベン・スティーラー、ウーピー・ゴールドバーグジェイク・ギレンホールらが視聴者からの寄付の電話受付を楽しんでいる。“仕事”としてやっているスタッフと“好意”で参加するスターたち、まるでショービジネスの縮図のようなコントラストが興味深い。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて発起人の一人、ポール・マッカートニーの「死ぬのは奴らだ」で最高潮となったコンサートは、災害と戦った消防士や警官の勇気とボランティア活動に従事した市民を称える。911直後にも復興支援コンサートを企画したポールの人徳が今回も感じられた。。。

オススメ度 ★★*

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