こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

otello2014-12-12

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア WHAT WE DO IN THE SHADOWS

監督 ジェマイン・クレメント/タイカ・ワイティティ
出演 ジェマイン・クレメント/タイカ・ワイティティ/ジョナサン・ブロー/コリ・ゴンザレス=マクエル/スチュー・ラザフォード/
ナンバー 276
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

日没後にセットされた目覚まし時計が鳴ると、棺桶から起き上がる。同居人を起こして回り、“共同生活のルール”ついて話し合う。太陽と十字架と銀製品は苦手、口にするのは動物の血、でもそれ以外の生態はほとんど人間と同じ。当然、面倒見のいい者も自己チューな者も反抗的な者もいる。カメラは郊外の一軒家でひっそりと暮らすヴァンパイアたちを記録するドキュメンタリーの体裁で彼らの日常に密着する。とりあえず周囲の人間に正体はばれていない、それでもたまには人間の生き血をすすりたい、そして永遠の命と若さを謳歌したい。物語はそんな彼らの欲望と葛藤をコミカルに描く。

ヴィアゴ、ディーコン、ヴラド、ピーターが身を潜める家に、新たにニックが加わる。ニックは闇の掟を守らず、自分がヴァンパイアであると口外してはばからない。さらに人間の親友・ステュを招き入れる。

IT技術者のステュは早速パソコン持ち込みネットでの検索・通信をヴァンパイアたちに教える。ヴィアゴは探し続けていた恋人の消息を知るなど、ヴァンパイアたちは役に立つステュを友人として迎え入れる。時代の流れを受け入れなければ未来が危うい、ヴァンパイアの世界も時と共に変わってく様子が、ゆる〜い感覚で再現される。100年以上も近代文明から遠ざかっていたヴァンパイアたちがITの洗礼を受け驚き楽しむシーンは、彼らも人間界との相互理解を怠れば、昔のように忌み嫌われ排除されることを予感させる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

他にも、狼男やゾンビといった怪物たちが昼間は息をひそめている。特に狼男グループとはとは小競り合いは絶えない。もちろんヴァンパイア間にも派閥があり、仲良しグループを作るし嫌いな相手もいる。舞台はニュージーランドの首都ウェリントン、これらの怪物たちが象徴するのは先住民なのか急増するアジア系移民なのか、いずれにせよマジョリティを占める白人=人間を含め、コミュニケーションなしでは憎しみばかりがはびこると主張しているのだ。

オススメ度 ★★*

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