こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

96時間 レクイエム

otello2015-01-12

96時間 レクイエム TAKEN 3

監督 オリヴィエ・メガトン
出演 リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/フォレスト・ウィテカー/タグレイ・スコット
ナンバー 7
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

十数人の警官、パトカー、ヘリコプターに包囲されると忽然と消える。わざと逮捕されて警察からデータを盗み、パトカーを奪って逃走する。その後も警察の前に尻尾をちらつかせては彼らの動きを観察し、周囲を取り巻く状況を把握して主導権を握る。忍者のごとく神出鬼没、圧倒的なパワーと諜報能力で捜査員を手玉に取る元工作員は今回も命がけの駆け引きに挑む。物語は警察に追われる主人公が、正体の見えぬ組織を相手に事件の真相を究明していく姿を描く。職務に忠実な公務員は傷つけられない、だが妻を殺した奴らには復讐しなければならない、そんなジレンマの中でも“子離れできない父親”の顔は変わらない。成人した娘にパンダのぬいぐるみを贈る彼のメンタリティが微笑ましい。

元妻・レノーラが死体で発見され、容疑者の濡れ衣を着せられたブライアン。陰謀を暴くために独自に調査を続けつつ、愛娘のキムにも接触する。防犯カメラの記録から、レノーラはロシア系ギャングに誘拐されていたことが判明する。

映画は、これまでの“家族の身を狙う悪党どもを容赦なくぶっ殺す”爽快感は陰を潜め、ブライアンの身柄を押さえようとする警察との知恵比べに比重を置く。はなから彼に逃亡の意図はなく、むしろ警察をからかう行動を繰り返す。もちろん黒幕につながる情報を得んとしているのだが、保険金以外のネタではブライアンの後手に回る警察は無能そのもの。カーチェイスのシーンでは細かいショットを積み重ねスリリングな映像に仕上げてはいるが、パリの雑踏、イスタンブールの喧噪と比べ、現代的なLAではあらゆるアクションが大味になり、ブライアンの“インテリジェンス”が100%生かし切れていない。そのあたりが物足りなく感じた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてロシア人の犯行を確信したブライアンは、レノーラの夫も一枚かんでいると知る。本当の黒幕が誰か、その狙いは何か、ブライアンはかつての仲間の力を借りて真実に近づいていく。謎が謎を呼ぶ展開と意外な真犯人。でも、ロシア人ボスはとんだとばっちりだったなぁ。。。

オススメ度 ★★*

↓公式サイト↓