こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ドラフト・デイ

otello2015-02-03

ドラフト・デイ DRAFT DAY

監督 アイヴァン・ライトマン
出演 ケヴィン・コスナー/ジェニファー・ガーナー/エレン・バーンステイン/デニス・アリー/フランク・アンジェラ
ナンバー 26
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

競合チームは足元を見て吹っかけてくる。オーナーからは横やりが入り監督には突き上げられる。身勝手なファンの要求も無視できない。恋人に相談しようとしてもそっけない態度を取られ、押しかけてきた母親にも手を焼き、新米の部下は役立たず。さらに声をかけた候補を気遣いつつ身辺調査をやり直す。残された猶予は12時間、それらすべての難題に対応し、誰もが納得する解決策を導かなければならない。物語はNFLドラフト会議当日の長い長い1日を描く。決定権を持つが故の孤独、自分の判断が他人の人生までも狂わせてしまうかもしれない苦悩、虚々実々の駆け引きの中で相手の本音を見抜いてかますブラフ。すさまじいフラストレーション下、超高速で頭をフル回転させる主人公の姿はスリリングかつサスペンスフル、米国フットボール界の熱狂がリアルに再現される。

ブラウンズのGM・サニーは1位指名を独断で決めるが、ライバルチームの指名を回避するため屈辱的な条件を飲まされる。その上オーナーも監督もサニーとは別の選手を指名しろと言い出す始末。己の立場しか考えない周囲の人々の意見にサニーは頭を抱える。

複雑なドラフト制度のルールの裏の裏まで知り尽くしたGM同士の折衝は、まるでポーカーのような腹の探り合い。弱気を見せれば付け込まれ、強気に出るとあしらわれる。また、チームスタッフの苛立ちから現役プレイヤーの不満まで丁寧にすくい取る演出は、まさしくこの日が指名を待つ選手のみならずあらゆる関係者にとっての“運命の日”であると強調する。様々な人々の思いを俯瞰する脚本は非常によく練られ、感情の発露がドラマティックだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてドラフト会議が始まり、サニーは雑音をシャッタウトして当初の決断を貫く。チームスタッフの間に広がる落胆と失望、それでもサニーは勝算わずかな大勝負を打つ。己の利益だけではない、関わった者すべてとWIN-WIN関係を築くことがビジネスにおいては最も大切だと、サニーの背中が饒舌に語っていた。。

オススメ度 ★★★

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