こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密

otello2015-02-10

チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 Mortdecai

監督 デヴィッド・コープ
出演 ジョニー・デップ/グウィネス・パルトロウ/ユアン・マクレガー/オリビア・マン/ポール・ベタニー/
ナンバー 30
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

先がピンと跳ね上がった口ひげは由緒ある一族の男たちの誇り。妻に嫌悪され友人にバカにされても、そこには理性と教養と洞察力と直感が宿ると信じている。物語は、我こそは世界一と自負する美術商が、地球を半周して強奪された名画を探す姿を描く。何事にも動じずどんなピンチも舌先三寸で切り抜ける一方、美しい妻には頭が上がらず、いざという時には献身的な使用人に命を助けてもらう。そんな風変わりだが頭の切れる主人公を、スパロウ船長を凌駕する珍奇なオーバーアクションでジョニー・デップが怪演する。その過程で繰り広げられるドタバタ劇は1960年代のコメディを髣髴させるベタな小ネタばかりで、ロンドン・アイが出てこなければ現代が舞台とは思えないほど。奇妙なセンスのズレが不思議な感覚を醸し出す。

絵画修復士が惨殺されゴヤの“幻の名画”が盗まれる。事件を捜査するマートランドは、業界裏事情に精通した美術商・モルデカイに協力を依頼する。しかし、モルデカイはロシアンマフィアに拉致されてしまう。

名画を奪ったのは誰なのか。なぜ今まで秘蔵されていたのか。モルデカイは不死身の用心棒・ジョックと共に関係者を訪ね歩くうちに、ナチス埋蔵金に行き当たる。さらに名画を狙うテロリストや同業者の陰謀にも足をすくわれつつ、愛妻・ジョアンナとマートランドの微妙な距離感も気になって仕方がない。その間、映画は小洒落た英国趣味の知的なユーモアを散りばめるが、意図するところがよく理解できなかった。また、ひげアレルギーのジョアンナがモルデカイとキスしようとすると嘔吐を催し、モルデカイにも伝染するシーンが何度もある。これは“下品だけれど笑える”場面だったのだろうか?

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

他にも、クルマを急発進させようとして後退したり、ショットガンで撃たれたジョックが飛んで行ったりと、いまどき子供にも受けないレベルのギャグが連発される。もしかしてもっと別の楽しみ方があったのかもしれないが、残念ながら見つけられなかった。。。

オススメ度 ★★

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