こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マッハ!無限大

otello2015-02-18

マッハ!無限大

監督 プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演 トニー・ジャー/ジージャー・ヤーニン/RZA/ペットターイ・ウォンカムラオ/マレセ・クランプ
ナンバー 38
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

白衣の姉妹と対決中にいきなり乱入してくるバイク軍団。あまりの数に路地を抜け、屋上に逃げて応戦する男は、壁を伝い宙に舞い空間を立体的に使って、肘打ち・ひざ蹴り・関節固めなど得意技でライダーたちを始末していく。さらにセダンやトレーラー、トラックに飛び移り、舞台を高速道路から巨大な架橋に移してバイク軍団の追撃をかわそうとする。その、10数分にわたる大乱闘&逃走劇は、危険なアクションをこなす主人公のみならず、彼に打ち倒される無名のチンピラ役までが命がけのスタントを見せる。それらの必然性に首をかしげつつも、スクリーンにはハリウッドや香港に負けない映画を作ろうというタイ映画人の熱き魂が漲っていた。物語は、弟同然に育てた象を奪われた男が、取り戻そうとするうちに陰謀に巻き込まれる姿を描く。相変わらずトニー・ジャーの圧倒的な身体能力には目を見張る。

愛象・コーンを連れ去ったブローカーの死体を発見したカームは、武器商人・LCの放った格闘家・NO2に拉致され、テロ計画の片棒を担がされる。一方で、ブローカーの女ボディガードたちにも襲撃され、絶体絶命の危機に陥る。

配下に地下ファイト団体を持つLCは、NO1格闘家の称号をカームに与えNO2の競争心を煽るなど、国家首脳暗殺を謀る悪辣な一面と経営者的センスを持つ人物。美女ファイター・NO20を巧みに操り組織を運営している。また、カームを叔父の仇と誤解しているカンフー姉妹も独自の行動理論でカームの前に立ちはだかる。カームの味方はインターポールのマークだけ。そんな状況下で、カームはひたすら走りながら闘い続ける。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ロールプレイングゲームのように次々と難敵をクリアしていく過程は、もはや筋立てなど重要ではなく、いかにスリリングかつエキサイティングに活劇を見せるかに重点が置かれる。本物の肉体のポテンシャルを最大限にまで引き出そうとする映像の洪水に、思考を停止してただただ身を委ねる。それがこの作品の鑑賞法に違いない。

オススメ度 ★★*

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