こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジュラシック・アイランド

otello2015-04-07

ジュラシック・アイランド Dinosaur Island

監督 マット・ドロモンド
出演 ダリウス・ウィリアムス/ケイト・ラスムッセン
ナンバー 80
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

集団で狩りをする恐竜も、巨大なアゴの肉食恐竜も、表皮には鱗ではなく色鮮やかな羽毛が生えている。卵を産み子育てをする習性は爬虫類ではなくむしろ鳥類に近いという近年の研究結果を反映させているこの映画の恐竜たちは、生存本能に従うだけの下等動物ではなく、コミュニケーションをとり愛情すら育んでいる。物語は恐竜たちが暮らす異次元空間に迷い込んだ少年が、そこで出会った少女と共に元の世界に戻ろうとする姿を描く。その過程で起こる、襲いくる古代生物や原始人に囲まれた環境でのサバイバルは、あくなき探究心と諦めない心、行動する勇気と助け合う思いやりが人間を成長させると説く。小学生を対象にしているのだろう、登場人物の恐怖や不安よりも、あくまで子供が耐えうるレベルの冒険に主眼を置き、刺激は控えめだ。

祖母の家で水晶片を発見したルーカスは、飛行機で移動中に時空の壁を超えてしまう。恐竜たちが闊歩する島で目覚めたルーカスは、ジャングルでケイトと名乗る少女に救われる。ケイトは恐竜を観察し克明な記録をノートに残していた。

20世紀半ばの時代から来たケイトは電話は知っていてもケータイは知らない。そのあたり、ルーカスとのかみ合わない会話が楽しい。彼女もまた時空の歪みに吸い込まれたのに、未来に戻るよりは恐竜が目の前で生きているこの島にいることを望んでいる。ケイトの選択は、自分が進むべき道ならばそれがどんなに困難でも苦にならないと教えてくれる。そして夢を実現するには強い意志と忍耐が必要と訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて物資を運ぶ輸送機を探すうちに原住民に捕えられた2人は、ヒゲの男から水晶の秘密を知らされ、時空の歪みの元になっている火山を目指す。その間、翼竜の背に乗ったり肉食恐竜に追いかけられたりと、過去の映画のイメージを剽窃したようなシーンが続く。全体的にオリジナリティが乏しく話の展開もちぐはぐだが、映画体験の乏しい子供ならばリアルな恐竜の造形に夢中になるのはずだ。

オススメ度 ★★

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