こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バレエボーイズ

otello2015-07-24

バレエボーイズ BALLETTGUTTENE

監督 ケネス・エルヴェバック
出演 ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド/シーヴェルト・ロレンツ・ガルシア/トルゲール・ルンド
ナンバー 166
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

バレリーナ風の爪先立ちではなく、足の指を土踏まず側に“握る”ように曲げ、指の甲側を床につけて歩く。素人目には奇異な歩き方だが、幼いころからの訓練のたまものに違いない。カメラが密着するのは、オスロにあるバレエスクールに通う3人の少年。有名なバレエ団で活躍するのは共通の夢、叶えるための才能があるのか、それに見合う努力をしているのかを客観的に見つめることができる年齢に達している。そしてやってくる将来を決める瞬間。一人前のつもりだけれど不安でたまらない、自立したいけれど親離れは寂しい、チャレンジしたいけれど負担が大きい。そんな微妙に揺れ動く心理にレンズを向ける。

容姿・骨格に恵まれたルーカスは練習も人一倍こなす真面目な性格。アジア系のシーヴェルトは己のダンスに自信が持てず、エンジニアになりたいとも考えている。抜群の身体能力を持つトルゲールはアスリート系の体格だ。

各国のコンクールに出場するがなかなか結果が出ない3人。シーヴェルトは一時バレエと距離をおいたりもする。それでも3人そろって国立芸術アカデミー・KHiOを受験する。ダンスのみならず、筋力や関節の適性といった入学後の伸びしろに選考の重きを置いているあたりがエリート養成校らしい。さらにルーカスにはロンドンのロイヤルバレエ団からオーディションの招待状が届く。年額4万ユーロの費用がかかる世界的な名門、このころになるとルーカスも顔が引き締まり、家計を心配するなど精神的にも成長している。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

KHiOに進んだシーヴェルトとトルゲール、ロンドンに旅立つルーカス。もはや少年時代は終わり、プロとしての素養と覚悟が問われる日々が待っている。高いレベルの同級生に刺激的を受け充実感を覚えるルーカスに対し、地元で頑張るシーヴェルトとトルゲール。目標に近づいたのか、また別の道を模索するのか、まだまだ彼らの人生には予想外の波瀾や幸運が起こるだろう。若さとは可能性、未来とは希望であると思える作品だった。

オススメ度 ★★★

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