こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ガールズ・ステップ

otello2015-07-28

ガールズ・ステップ

監督 川村泰祐
出演 石井杏奈/小芝風花/小野花梨/秋月三佳/上原実矩/大東駿介/山本裕典/塚本高史
ナンバー 168
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

最初は嫌々体を動かしていた。リズムに乗せてステップを踏むと心が解放されるような気分になった。ステージの上では緊張したけれど、いつしか会場と一体になる高揚感に酔いしれていた。物語は学業もスポーツもイマイチな女子高生たちが、ダンスを通じて自信と勇気を取り戻していく過程を描く。お調子者、ネクラ、KY、ガリ勉、ヤンキー……。そこでは、スクールカースト低位の地味な彼女たちの繊細な悩みが濃やかに再現される。ひとりひとりは個性的なのに、みなどこかで自分の本心を抑えて登校している。彼女たちがお互いに分かり合い本当の気持ちに正直になるという展開は王道だが、不器用でも真剣に生きようとする姿は目標があれば人生は変えられると教えてくれる。

あずさたち5人は単位の代わりに市民祭りでのダンスパフォーマンスを課せられる。本番後、人前で踊る楽しさに目覚めた彼女たちはダンス部を結成、NY帰りのケニーにコーチを頼む。だが、チア部との軋轢があずさを追い詰めていく。

いじめを受けていたゆえに八方美人のあずさ、家族にコンプレックスを持つ環、家計を心配する葉月、恋人に振り回される愛海、学校嫌いな美香。それぞれが事情を抱えながらも、踊っている時だけは嫌な現実を忘れられる。ところが、言いだしっぺで部長のあずさがチア部との人間関係に疲れ脱落する。そんなあずさに“もっと自由になれ”とアドバイスするケニー。一見チャラ男なのに傷ついたあずさを一生懸命理解しようとし、決して説教口調にならずに彼女の葛藤に寄り添う、その押しつけがましさのないキャラに好感が持てた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

しかしダンス部は解散、5人は気まずい思いのまま教室に戻るが、愛海のSOSをきっかけに5人は再結集する。そして頼れる友達はやっぱりダンスで結ばれた仲間しかいないと気づく。夢中になれることを見つけなりふり構わず突き進む、次第に輝きを増す彼女たちの青春と友情がまぶしかった。

オススメ度 ★★★*

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