結婚式のパーティで泥酔して行きずりの男に絡む子連れ新婦。その痴態を目撃した小さな娘は、心に大きな傷を負う。それでもたったひとのママ、ほとんど面倒は見てはくれないけれどやっぱり一緒にいたい。物語は、ふしだらなシングルマザーと暮らす少女の成長を描く。酒癖・男癖は最低、目の前に快楽が転がっていると後先考えず我を失う。そのたびに少女は裏切られるけれど、いつかは自分の方も見てくれると期待してしまう。だが、孤独な男との出会いが、少女を少しずつ変えていく。そして、その場しのぎの言葉ばかりの母よりも、己の気持ちに共感してくれる男の方を信頼するようになっていく。無責任で自己チュー、機嫌のいい時だけ娘をかわいがる母親に不快感が膨らむのに比例して、母を待ち続ける少女の姿が切なさを増していく。
生活力ゼロのマルレーヌに育てられているエリーは、ぬいぐるみ相手に寂しさを紛らわせる日々。夏休みが終わり新学期が始まると、マルレーヌはエリーを置いて男と家出する。
マルレーヌと行く約束をしていた遊園地にひとり出向くエリー。そこで知り合ったフリオは家族との葛藤を抱えていて、エリーの事情を理解しようとする。同時にエリーは酒を口にするようになり、学校でいじめにあったり売春まがいの行為にまで手を染める。エリーはマルレーヌほど弱くはないがまだ8歳の子供、大人からあまり構われるのは嫌だけれどちょっとは関心を持ってほしいと感じている。でもどうしたらいいのかわからない。そのあたりの微妙な胸中を、エリーを演じたエイリーヌ・アクソイ=エテックスが繊細な表情の変化で表現する。運命を背負う幼い背中を支えてあげたくなった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
すっかりフリオになついたエリーだが、友達にはマルレーヌは死んだと嘘をつき学校では孤立を深めている。そんな時、男に捨てられたマルレーヌが帰ってくるが、エリーはもはや迷惑顔。本当に大切に思ってくれているのは誰かを命がけで知ろうとするシーンはわずかな救いだった。愛されない子供はいないのだ。
監督 ヴァネッサ・フィロ
出演 マリオン・コティヤール/エイリーヌ・アクソイ=エテックス/アルバン・ルノワール
ナンバー 190
オススメ度 ★★*
↓公式サイト↓
http://my-angel-movie.com/