こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アナベル 死霊博物館 

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秘密にされると知りたくなる。施錠された部屋には入りたくなる。ガラス箱に閉じ込められた人形は外に出したくなる。そして、抑えられない好奇心と愛する者への強い思いが禁断を破ってしまう。物語は、人形に憑依した悪霊が解き放ってしまったのを機に起きる、一昼夜の恐怖を描く。怪しい影はなかなか正体を見せない。廊下の奥から少しずつ様子を見て攻撃を仕掛けてくる。彼らもまた人間を警戒しているのだろう、神に通じる力を持つ者には近寄ってこない。やがて悪霊たちは生きている者に対する敵意をむき出しにし、生命エネルギーを吸い取ろうとする。わずかな気配、不審な物音、勝手に開閉するドアetc. 真綿で首を絞めるような演出はまさしくホラーの王道だ。さらに、霊感少女と女子高生2人の微妙な人間関係が悪霊以上の緊張感をもたらしていた。

霊媒師夫婦の娘・ジュディはシッターのメアリ、メアリの友人・ダニエラの3人で一夜を過ごす。ダニエラが名高い悪霊人形・アナベルの保管ケースを開けると、悪霊たちがうごめきだす。

大きく見開いた青い目、前髪を切りそろえたおさげの金髪、深く刻まれたほうれい線。あまりかわいいと思えないこの人形も持ち主に愛されたことがあったはず。霊媒師夫婦はアナベル人形は媒体にすぎず、きちんとケアすれば問題ないと断言する。だからこそ悪霊祓いを受けガラスケースに収められている間はおとなしくしている。だがアナベルについた悪霊は、父の事故死に責任を感じているダニエラの心を利用する。そのあたり、人の弱みに付け込む悪霊の狡猾さが恐ろしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

夜になり、悪霊たちが本格的に活動し始めると少女たちはパニックになるが、ジュディだけはキリスト像が彫られた十字架を手に対処する。隣人のボブも加わって悪霊とのバトルはオールナイトで続く。その過程で、人に害をなす悪霊ばかりではなく優しく見守り時に味方をしてくれるいい霊もいるのが救いだった。あと、スプラッターに走らず登場人物が死ななかったのも後味がよい。

監督  ゲイリー・ドーベルマン
出演  マッケンナ・グレイス/マディソン・アイスマン/ ケイティ・サリフ/パトリック・ウィルソン/ベラ・ファーミガ
ナンバー  226
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://wwws.warnerbros.co.jp/annabelle-museumjp/