やっと安寧を手に入れたと思ったのに、不思議な声が心を騒めかせる。何かを伝えようとしているようでもあり、どこかに誘っているようでもあり、彼女はたまらず導かれていく。物語は、手に触れた世界を凍らせる魔法を持つ女王がそのパワーの出自を探る旅を描く。同行するのは妹と友人たち。個人的なことだから自分一人で決着をつけたいのに、皆運命共同体のごとく彼女についてくる。迷い込んだ深い霧に包まれた森では時間が止まったまま延々と無益な戦いが繰り返されている。その理由はまたしても自らの出生にかかわると知った女王はさらなる試練を乗り越え、封印された過去に近づいていく。己の能力の適切な使い方を学んだ彼女が荒れ狂う海に向かって突き進むシーンは、絶対にあきらめないという不屈の魂を象徴していた。
洪水に襲われた王国を復興させるため、アナ、クリストフ、オラフ、スヴェンらとともにエルサは魔法の森に侵入する。武力そこでダムをめぐる闘争に巻き込まれ、仲裁しようとする。
水の記憶から両親の故国同士が敵対していた事実をつかんだエルサは、謎と声を追って冒険を続け、魔法の由来を理解する。その間、行動を共にすると約束したアナを突き放し危険にさらしたりするが、アナはアナで何があっても生き抜く決意を高らかに歌う。絶望的な状況でも座して死を待つよりはわずかな希望にかけて前に進む。絶体絶命の時こそポジティブ思考が重要と2人の言動は訴える。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがて皮肉な真実を突き止めたエルサ、だが彼女には悲劇が待っている。裏切りと欺瞞、相互不信と不寛容。友好の証として建設されたはずのダムは、実は魔法の森を攻める王国側の陰謀だった。そして危機を脱したアナは、かえって王国の破滅を誘発してしまう。王国を守るにはエルサの魔法が必要だが、エルサの命を救うにはアナの勇気が不可欠。どちらかが欠けてはどちらも生きていけない。そんな2人が真の使命に目覚めて友好のかけ橋になろうとする姿は、愛と信頼だけが平和をもたらすと教えてくれる。
監督 ジェニファー・リー/クリス・バック
出演 クリステン・ベル/イディナ・メンゼル/ジョナサン・グロフ/ジョシュ・ギャッド
ナンバー 278
オススメ度 ★★★