こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ルパン三世 THE FIRST

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パリで逮捕された大泥棒をバンで移送中に、仲間が身柄を奪還する。彼らの逃走車を追跡するパトカーがなぜか右ハンドル、不思議に思っていると車体の横には “埼玉県警” の文字が。ほんの短いショットに込めた遊び心が楽しい。物語は、世界を一変させる超兵器の秘密を記した日記を巡って盗賊団と怪しげな組織が繰り広げる争奪戦を描く。日記を読むためには複雑な仕掛けの箱を開けなければならない。2つの鍵とパスワード、双方の鍵は祖父の代からの因縁が染み付いていて、主人公とヒロインはお互いの運命に引き寄せられるかのように導かれ日記の下に集う。そしてナチスの野望。CGで立体的によみがえった往年の名作は、キャラクターはそのままに圧倒的なスピード感と目まぐるしい展開を伴って帰ってきた。

第二次大戦中にフランスの科学者が遺した “ブレッソン・ダイアリー” を盗もうとしたルパンは、レティシアという少女に邪魔をされる。レティシアの事情を聴かされたルパンは彼女と手を組む。

レティシアの情報をもとにたどり着いたのは、第三帝国再興を目論むゲラルトの輸送機。日記ケースに施された錠を解くと古代言語で超兵器・エクリプスの隠し場所と使用法が書き残されている。マルチな言語能力と考古学に造詣深いレティシアはすべてを解読する。その間、ルパン側でも次元、五ェ門、不二子、銭形等のお馴染みの登場人物が絡み、それぞれに見せ場を作る。時代背景を1960年代初頭に設定しているために彼らが操る小道具類はアナログのローテク、古き良きアニメの味わいを残しつつ表現力が格段にアップした映像はスリリングかつエスプリが効いていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

エクリプスの所在を知ったゲラルトとルパンたちはメキシコに向かうが、その洞窟に入るためには「インディ・ジョーンズ」風の “試練” を乗り越えなければならない。さらに全貌を現したエクリプスを悪用するゲラルトと止めようとするルパン。ストーリーに新鮮味はないが、ルパンのクールな世界観は時を経てもなお色褪せていなかった。

監督  山崎貴
出演  栗田貫一/小林清志/浪川大輔/沢城みゆき/山寺宏一/広瀬すず
ナンバー  291
オススメ度  ★★★


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