こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バッドボーイズ フォー・ライフ

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敏腕刑事として名をとどろかせたのは遠い昔。相棒は引退を考え、自身は凶弾に倒れた。だが、謎の襲撃者との決着をつけるまでは絶対に引き下がれない。物語は、刑事と殺し屋の壮絶な死闘を描く。お互いに心に抱くのは相手への復讐。殺し屋は母のために、刑事は自らの失態を取り返すために。スピード感あふれるカー&バイクのスタントから洗練された格闘技、最新機器による極秘捜査、派手な銃撃戦と大爆発etc. 手に汗握る見せ場の連続でアドレナリンは噴出するが、その合い間に2人の刑事による掛け合いを挟むことで緩急に絶妙のバランスを取る。しかし、アクションシーンは緻密さにかけた大雑把な印象を受け、主役コンビの軽妙なやり取りも米国人ならば微妙なニュアンスまで理解できたのだろうが、まったく笑えなかった。

女囚・イザベルが息子のアルマンドを使って脱獄、マイアミ市警のマイク以下自分を有罪にした当局の関係者の処刑を始める。マイクは一命をとりとめ、アルマンドの行方を追う。

復帰したマイクは若手による特捜チームとに合流し捜査に加わるが、年寄り扱いされて話がかみ合わない。仕方なくかつての相棒・マーカスを呼び戻し2人でアルマンドの足跡をたどる。アルマンドは彼らに先行し手掛かりを握る者は消されていく。このあたりアルマンドは一流スパイ並みの能力を持ち、ほぼ一人で警察の裏をかくほどの優秀さ。父親を知らず母親は獄中という環境で育ったはずなのにいかにしてこれほどの殺し屋に育てられたのか、彼のキャラクターにももう少し深みを持たせてほしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、アルマンドの背後にはイザベルがいると悟ったマイクは過去に決着をつけるためにメキシコに飛ぶ。そこで明らかになるイザベルとの因縁とアルマンドの秘密。運命はいかにしてねじれたのか、イザベルがどれほどマイクを憎んだのか、そしてアルマンドにどうやってその思いを伝えたのか。銃撃や大爆発・火災よりは、絡まり合った3人の人生を丁寧に再現したほうがよかったのではないだろうか。

監督  アディル・エル・アルビ/ビラル・ファラー
出演  ウィル・スミス/マーティン・ローレンス/パオラ・ヌニェス/ケイト・デル・カスティーリョ/ジェイコブ・スキピオ
ナンバー  20
オススメ度  ★★


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