こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブラッドショット

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目覚めたら強靭な肉体に変わっていた。思考は定まらないが、体に染みついた能力は保持されたまま。同時に、断片的に脳裏によみがえる忌まわしい光景が男を不安に駆り立てる。自分はいったい何者なのか、なぜここにいるのか。それを確かめるために彼は復讐の旅に出る。物語は、最先端テクノロジーで戦闘マシーンに改造された男が、真実を求めて戦う姿を描く。ミクロのロボットで再生されたボディは人間離れしたパワーを持ち、破壊されても元通りに修復される。「T2」のT-1000進化系ともいえる造形のヴィジュアルは非常に洗練されていた。そして、主人公の記憶を上書きして蘇生させ、都合よく再利用しようとする科学者の狂気。生命工学とIT技術の進歩で不死身の肉体を手に入れることが、決して本人の幸せに結びつかないとこの作品は訴える。

テロリストに拉致され妻と共に殺害された特殊部隊隊長のレイは、改造人間の研究者・ハーディングの手で超人化され意識を取り戻す。やがて、失っていた過去を少しずつ思い出していく。

脳内からネットにアクセスでき、瞬時に情報を取り出せるレイ。妻を惨殺し己に引き金を引いた男の居場所をほどなく突き止め、単身報復に向かう。脳がWi-Fiに常時接続されているので未知の状況に直面してもすかさず検索したちまち解決策を見つけるだけでなく、圧倒的なパワーで敵を追い詰め反撃を蹴散らしていく過程は、爽快感以上の全能感に浸れる。生まれ変われるならこんな頭脳と肉体を手に入れたいと誰もが一度は願うのではないか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末だろうに触れています◆

仇を討ったもののダメージを受けたレイは研究所に回収され、回復処置を受ける。そこで施される驚愕の再起動。ハーディングに支配されていても良心は失っていない女サイボーグの機転でレイは本当に倒すべき相手を知る。どんでん返しを前半に持ってきて、後半はひたすら改造人間同士のバトルアクションで疾走する構成は、派手で見どころたっぷり。ただ、ヴィン・ディーゼルの動きにキレがなくCGでごまかしている感じが強かった。。。

監督  デビッド・S・F・ウィルソン
出演  ヴィン・ディーゼル/エイサ・ゴンザレス/サム・ヒューアン/トビー・ケベル/ガイ・ピアース
ナンバー  74
オススメ度  ★★*


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