こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ランボー ラスト・ブラッド

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時おり戦場のトラウマに襲われることはあっても、愛情を注げる人に囲まれておおむね平穏だった。災害が起きればボランティアの救助員として活躍し、それなりに感謝されていた。ところが、わが子のようにかわいがっていた娘が攫われたとき、彼の怒りはこれまでにないほど沸騰する。物語は、引退生活を送っていた元特殊部隊隊員が重武装したギャングと戦う姿を描く。大義や人道などではない、純粋に個人的な復讐。今回はアウェイではなく、ホームに敵を迎えての有利な条件の下、ベトナムで培った殺人技を余すところなく披露する。爆殺や銃殺では生ぬるい、罠にかけ、戦闘能力を奪ったうえで確実に仕留める。まるでゾンビを倒す時のように徹底的に相手を破壊する止めの刺し方に、主人公の憎しみが凝縮されていた。

実の父に会いに行ったガブリエラの消息を探してメキシコの危険地帯に潜入したランボーは、地元の人身売買組織に返り討ちにあう。再度ガブリエラの奪還を試み成功するが、帰路彼女は息絶える。

ランボーにとってガブリエラは生きる支えだった。やっと見つけた心の休息だった。だが、彼女もいつか巣立つ。それをきちんと見届けられなかったランボーには憤怒しか残っていない。ガブリエラに暴行を加えドラッグ中毒にした組織のチンピラには激烈な制裁を加え、幹部の首を切り落とす。仕返しに来たギャングたちは自動小銃を持っていても所詮は訓練された戦士ではなく素人。ランボーは数的不利を圧倒的なスキルと経験の差で埋め、残虐な殺し方だけがガブリエラの魂を鎮める方法とばかりにひたすら殺戮を繰り返す。もはや祖国や忠誠など関係ない、戦闘マシーンの本能に忠実に従うショットの連続は、むしろすがすがしささえ覚えた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いくら恨みを晴らしても、もうガブリエラは帰ってこない。わかっているが悪党どもをのさばらせておくわけにはいかない。ボスを処刑するシーンは弓矢とナイフというグリーンベレー時代の特技を最大限に生かし、シリーズの集大成にふさわしかった。

監督  エイドリアン・グランバーグ
出演  シルベスター・スタローン/パス・ベガ/セルヒオ・ペリス=メンチェータ/アドリアナ・バラーサ/イヴェット・モンレアル/オスカル・ハエナダ
ナンバー  95
オススメ度  ★★★*


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