こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

チア・アップ!

f:id:otello:20200710141809j:plain

大都会でのひとり暮らしはそれなりに満足していた。あとは孤独とつきあいながら余生を静かに過ごそう……。物語は米国南部の老人施設に引っ越してきた老女が、もう一度希望を取り戻していく姿を描く。少女の頃に憧れたチアリーダー、そんな夢はとっくに忘れたはずなのにユニフォームは捨てずに残してある。50年以上ずっと封印していた願いは、世間のしがらみから離れた今だからこそ実現できる。仲間を集め共に汗を流しお互いの問題をチームワークで乗り切ることで、同じ目標に向かって邁進する。気持ちさえ老いていなければいくつになっても青春できるのだ。そっとしておいてほしくても周囲がやたら干渉してくる土地柄、他人との程よい距離感で過ごしてきたヒロインが受けるカルチャーショックは “サザンホスピタリティ” を象徴していた。

安らかな最期を迎えるためにジョージア州の老人コミュニティに移ったマーサは、隣人のシェリルと親しくなる。シェリルの助言で、マーサはチアダンスのクラブを立ち上げる。

末期がんに侵されていて残された時間は少ない。売れる物はすべて売り払い、思い出深いモノだけを持ってきた。ところが、いつ逝っても悔いはないと思っていたのに、ふつふつと湧いてくる若き日の熱い思い。幸いまだ体調は悪くない。関節の痛みもない。ならばあきらめる前にチャレンジしよう。あまり愛想もよくなく気難し気だったマーサが、南部人の人柄に触れて変わっていく。その過程は、人はやはりひとりでは生きていけない、たとえ死を間近にした老人でも他人と苦楽を分かち合ってこそ人生は充実すると教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

オーディションに集まったメンバーで振り付けの練習が始まる。一応、みなダンスやヨガで健康は維持しているが、激しいアクションやキレキレの動きはできない。それでも、高校生チアリーダーの指導を仰ぎ少しずつダンスは洗練されていく。ただ、3週間の準備期間でレベルの高い大会に出場するというのは話が飛躍しすぎ。もっと手順を踏んでほしかった。

監督  ザラ・ヘイズ
出演  ダイアン・キートン/ジャッキー・ウィーヴァー/ セリア・ウェストン/リー・パールマン/パム・グリア/アリーシャ・ボー/チャーリー・ターハン
ナンバー  105
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://cheerup-movie.com/