こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

映像研には手を出すな!

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イデアはある。想像はどんどん膨らむ。協力者も現れた。だが、予算はなく、締め切りまでわずかしか時間がない。映画は、学園祭での公開に向けて短編アニメを制作する女子高生たちの奮闘を描く。見たもの聞いたことから次々とインスピレーションが湧くディレクター志望の人見知り少女、抜群の筆力で具体的な画に仕上げる美少女モデル、彼女たちを束ね方向性を示すリーダー。設定に説得力を持たせるためのディテールからユニークな展開、リアルな音響まで、人を喜ばせる作品を創る工程をコミカルなタッチで再現した映像は、少女たちの青春物語の一面も持つ。サウンドディレクターがバトルシーンの効果音を披露する場面は、まるで目の前にその光景が浮かび上がるような素晴らしい出来栄えだった。

部活動の統廃合が進む高校で、みどり、ツバメ、さやかの3人は映像研を存続させるためにロボ研と提携する。巨大ロボ対怪獣のアニメを作り始めた彼らの前にはさまざまな障壁が立ちはだかる。

天才的なひらめきと連鎖反応のように妄想があふれ出す一方で、見知らぬ人から話しかけられると目を回してしまうみどり。一般的な常識や世間知にまったく触れずに生きてきた彼女の特異なキャラを、齋藤飛鳥が圧倒的な個性で演じている。生徒会が強権支配する高校で自分たちの権利のために戦うファンタジックな世界観の中、シャイで舌足らずで思い込みが激しいけれど一度決めたらやり抜く頑固さも持つ彼女の存在が一頭地を抜いていた。そして、ツバメは友達ではなくあくまで志を同じくする仲間。さやかは目標のためには厳しさを前面に出し、決して2人を甘やかしたりはしない。そのあたりの塩梅が「お仕事」ものとしても楽しめた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

尻に火が付いた3人は、生徒会の “徹夜取り締まり” の裏をかきなんとかアニメを完成させる。彼女たちの思いが詰まったアニメは、自由にものが考えられて表現できる喜びに満ちていた。それにしても人工台風発生マシンはみどりたちとどういう関係があったのだろうか。。。

監督  英勉
出演  齋藤飛鳥/山下美月/梅澤美波/小西桜子/グレイス・エマ/福本莉子/桜田ひより/浜辺美波/髙嶋政宏
ナンバー  164
オススメ度  ★★★*


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