こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ボルケーノ・パーク

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頭上から降り注ぐ火山弾。斜面に沿って迫り来る火砕流。すべてを焼き尽くしながら流れてくる溶岩。火山噴火が引き起こすあらゆる災厄が人々に襲い掛かる。“ジュラシック” シリーズの設定をまるまる模倣した作品だが、登場人物に降りかかる危機また危機の連続はツッコミどころが満載でかえって楽しめる。一方で、CGを多用したスペクタクルの出来はよく、中国映画界が最新の技術を学ぶために大金を投じてハリウッドのスタッフを雇ったのかと勘繰りたくなる。物語は、20年前に噴火した活火山島に作られたリゾート施設から、火山学者たちが観光客を避難させながら脱出する過程を描く。ヒーローでもない学者たちが肉体的負担の大きい危険なアクションを冷静にこなす姿は、爽快感に違和感が伴う不思議な感覚だった。

マグマ見学が売りのリゾート島の火山学者・シャオモンは観測機器のデータに異常な動きを感じる。父のタオも警告を発するが、すでに噴火口の展望デッキには見学ツアー客であふれていた。

展望デッキに駆け付けたシャオモンとタオは、見学者たちをエレベーターに乗せ頂上と麓をつなぐモノレール乗り場まで退避させる。直後の、レールを失ったモノレールから並走するモノレールに飛び移るシーンはスリル満点、この映画いちばんの見どころだ。九死に一生を得たシャオモンたちはオフロード四駆に乗ったカップルと合流、彼らと行動を共にしつつ、逃げ遅れた親族を火砕流が迫る村に探しに行ったりする。まるで煉獄杏寿郎のように「ここにいる者は誰も死なせない」とばかりに人助けをまっとうしようとする態度は、あまりにも強引で滑稽さすら覚えた。まあ、命を落とす者もいるが。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も、火砕流の方向を変えたり四駆が溶岩に押し流されたりと息つく間もなく火山活動の波状攻撃を受ける。ただ、どれもどこかで見たことのあるアイデアの焼き直しでオリジナリティに乏しい。なにかひとつだけでいい、あっと驚くようなアクションなりどんでん返しなりを用意してほしかった

監督  サイモン・ウェスト
出演  ワン・シュエチー/ハンナ・クィンリバン/ショーン・ドウ/ジェイソン・アイザックス
ナンバー  204
オススメ度  ★★


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