こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

新感染半島 ファイナル・ステージ

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全土が感染に見舞われた半島国家、逃げ遅れた人々は隠れ住むか砦の中に籠るしかない。残された物資は豊富にあり、補給に頼らずにしばらくは生きていける。だが外部との連絡手段はなく救出は望めない。物語は、ゾンビに取り囲まれた地域に放置された現金輸送車を回収するために送り込まれた男女の奮闘を追う。音さえ立てなければ夜は安全のはずだった。静かに忍び込んで、すぐに撤退する予定だった。しかし、生き残った民兵部隊に邪魔をされるという想定外の事態に陥り、彼らはゾンビ以外も敵に回す。全力疾走で向かってくるゾンビと、重武装した装甲車で追いかけてくるならず者。ただ血肉を求めて突進してくるだけのゾンビよりも狂気に駆られた人間の方が数倍恐ろしい。夢も希望もない世界で生き残るには何が必要なのかこの作品は教えてくれる。

香港で難民生活を送るジョンソクはゾンビ禍難民の3人と共にソウルに潜入する。ほどなく現金輸送車を見つけるが、現地の民兵組織に襲撃されたうえゾンビに囲まれたところを謎の一家に助けられる。

音や光に反応し、全力疾走で迫ってくるゾンビの群れ。数十体、いや数百体が廃墟からわき出し先を争うようにして人間の匂いを追う。身体能力は増し障害物を難なく飛び越え歯をむき出しにして襲い掛かってくる。一方、ファン軍曹が実権を握る民兵組織も、ジョンソク達侵入者を排除しようとする。きっと無能な士官の命令に従わなければならない鬱屈を抱えていたのだろう。思いきり銃をぶっ放しても咎められない自由を満喫しているようで、暴力的な欲望を解放した姿はむしろ人間的だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

脱出するためのフェリーが港に来ていると知ったファン軍曹はジョンソクらが運転する輸送車を追う。十数台の車両が銃撃戦と肉弾戦を繰り広げながら全力疾走するカーアクションは、大勢のゾンビも参戦、圧倒的な情報量のもとで息もつかせぬスリルとスピードで見る者を完全に思考停止状態に陥らせる。細密なCGはまるでゲームの中に迷い込んだような錯覚すら覚えた。

監督  ヨン・サンホ
出演  カン・ドンウォン/イ・ジョンヒョン/クォン・ヘヒョ/キム・ミンジェ/ク・ギョファン/キム・ドゥユン/イ・レ/イ・イェオン
ナンバー  1
オススメ度  ★★*


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