こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ガンズ・アキンボ

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気が付くと銃が両手にボルトで固定されている。自分では外せない。さらにドローンで監視され逃げ場はない。その手のまま、彼は凄腕の女殺し屋との決闘を命じられる。物語は、プレーヤー同士のガチの殺し合いを中継する番組で、無敗の強敵と戦うハメになった男の奮闘を追う。相手はマシンガンからロケット砲まで自在に操り接近戦のスキルも高いプロ。一方の主人公は銃など手にしたことのない小心者。思い通りに銃身を操れずおしっこで下着を濡らしていた。不安と緊張に苛まれながら走り続けていた。そんな彼が心の奥に眠っていた闘争本能を覚醒させていく過程は繊細な感情がリアルに再現され、不条理にとらわれた戸惑いと恐怖を体感させてくれる。刺激的なライティングと扇情的な音楽に彩られた短いショット、ゲームのようなノリの映像は最後まで息切れせずに疾走する。

ライブ配信サイト「スキズム」をディスったマイルズは主催者のリクターに拉致され、バトルに強制参加させられる。さっそく連戦連勝のニックスがマイルズの元に送り込まれる。

勤務先ではお荷物扱いでガールフレンドともうまくいっていない。ネットの書き込みが唯一の楽しみという典型的なダメオタクのマイルズ。リクターたちの圧倒的な暴力の前ではなす術もなく、ニックスの襲撃からは逃げまどうしかない。指が銃で自由に動かせずうまくモノが持てないがゆえ服も着られず、下着の上にガウンを羽織ったまま街を逃走するマイルズの間抜けぶりがおかしさの中にも憐みを誘う。そして、端末で楽しんでいる視聴者の血に飢えた好奇心が、“他人の不幸は蜜の味” という人間の本性を象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ニックスは狩りを楽しんでいるのか、なかなかマイルズにとどめを刺さない。彼が相対するギャング団に囲まれたときなど救ってやったりもする。やがてリクターの真実を知ったニックスは、復讐の鬼となって悪党どもを血祭りにあげていく。洗練された流麗な身のこなし、彼女の武器の扱いと格闘技は殺しの美学に昇華されていた。

監督  ジェイソン・レイ・ハウデン
出演  ダニエル・ラドクリフ/サマラ・ウィービング/ナターシャ・リュー・ボルディッゾ/ネッド・デネヒー
ナンバー  34
オススメ度  ★★★


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