こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

リーサル・ストーム

f:id:otello:20210305133616j:plain

気の重い任務に向かった警官はいきなり発砲される。賊は自動小銃武装したプロ集団、腰の拳銃だけではとても歯が立たない。外は大嵐で無線は通じず、応援を呼べない。物語は、追い詰められた状況で中層アパートに閉じ込められた人々が、有名絵画を狙う強盗集団と闘う姿を描く。絵のありかを知る老人は保護した。避難を拒む老人はもうひとり、元警察署長の彼は銃器の扱いにたけた力強い味方。降りしきる雨、いつ遭遇するかわからない敵。まるで戦場のような緊迫感の中、彼らは生き残るための戦術を練り、ひとりずつ敵を倒していく。非常事態下での犯罪はカムフラージュしやすく、悪党どもは大胆な行動に出られる。人を殺しても派手な破壊をしても発覚は遅れる。そんな危険をこの作品は警告する。

やる気のない警官・コルディーロは相棒のペーニャとともに避難勧告に向かった先のアパートで、ドイツ人、元警察署長のレイと介護する娘・トロイ、ペットを飼う黒人らと孤立する。

厳重にカギがかけられた部屋の地下金庫に名画が隠されていると知った強盗団が押しかけ、いきなり銃撃戦になる。コルディーロはトロイと行動を共にしつつ反撃する。ペーニャはレイと武器を調達し、強盗団を次々と倒していく。もともと反撃を想定していなかったのだろうか、強盗団はボスのジョン以外は練度が低い。それでも役立たずには容赦なく制裁を加えるジョンに、部下たちは恐れをなして服従している。狭い廊下や階段で繰り広げられる銃撃戦は短いショットの連続で細かい状況がよくわからず、ごまかされているような気がした。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

メル・ギブソン扮するレイが期待したほど活躍しないまま銃弾に倒れ、ペーニャはジョンの人質となる。そしてジョンは目的の名画にたどり着くが、当然悪党は死ぬ運命にある。ペットを警官の制服に襲い掛かるよう調教したという黒人の話も、伏線としては見え見えだっただけに、もうひとつ斬新なアイデアを見せてほしかった。

監督  マイケル・ポーリッシュ
出演  メル・ギブソン/エミール・ハーシュ/ケイト・ボスワースケイト・ボスワース/デビッド・ザヤス
ナンバー  36
オススメ度  ★★


↓公式サイト↓
http://klockworx-v.com/lethalstorm/#Intro