こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

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殺し屋、ネズミ使い、サメ、軍人etc. それら一芸に秀でた個性的なキャラの中でも圧倒的な存在感を示すヒロイン、今回は長い槍を自在に操り巨大な敵に挑む。物語は、小さな島の独裁国家が密かに進めるエイリアン研究を阻止するために送り込まれた混成部隊の活躍を描く。上陸地点で待ち伏せを食らう。次々と倒れる仲間を尻目に、発砲してくる相手を仕留めていく。戦闘中は何でもあり、敵に対しては容赦なく、まるでゲームを楽しんでいるかのよう。射撃やナイフ、毒矢で絶命させるのはおとなしい方で、顔を吹き飛ばしたり頭から丸かじりしたり体ごと爆発させたりと血肉が弾ける残虐描写にも遠慮がない。それでいてユーモアを漂わせる映像は、殺しの美学すら感じさせる。シルベスター・スタローンの不器用そうな声が渋かった。

長期収監中の極悪犯罪者が集められ決死隊を結成、クーデターが起きた小国に送り込まれる。ハーレイ以外部隊は全滅、彼女はブラッドスポート率いる別動隊に合流して研究所塔を目指す。

研究所にとらわれているのはかつて米国の宇宙飛行士が地球に持ち帰ったエイリアン。政府機関の長官は、エイリアンを生物兵器として利用しようとした過去ごと葬り去ろうとしている。もちろん作戦が成功したら決死隊も抹殺するつもりでいる。ところがハーレイたちの活動を見守っている政府機関の職員は次第に “何が正しいこと” かに目覚め、単なるサポートだけではない感情を抱いていく。個人の犯罪はきちんと責任を取らせようとするのに国家の陰謀はもみ消そうとする長官の判断に毅然とした態度をとる部下たち。まだ民主主義は健在であると彼らの行動は示す。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一度は捕虜になったハーレイは大統領に気に入られるが、大統領が彼女を怒らせてしまう。その後、吊るされ電撃棒で拷問されても隙を見て脱出を図るハーレイの雄姿は、かつてスクリーンをにぎわせたあらゆる “女ヒーロー” よりも優雅かつしなやか。ぶっ飛んだキャラ以上の戦闘能力の高さは、次回作でも主人公を務めるに違いない。

監督  ジェームズ・ガン
出演  マーゴット・ロビー/イドリス・エルバ/シルベスター・スタローン/デビッド・ダストマルチャン/ダニエラ・メルヒオール/ジョン・シナ/ジョエル・キナマン/ヴィオラデイビス
ナンバー  144
オススメ度  ★★★*


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