こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

モンタナの目撃者

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この少年だけは命に代えても守らなければならない。トラウマを抱えるヒロインは知識と経験を生かして追手と山火事を相手に奮闘する。物語は、陰謀の証拠を握る少年を山中で保護した消防団長が、深い森を逃げながら腕利きの殺し屋を迎え撃つ姿を描く。高度な訓練を受け重武装している上に情け容赦なく暴力を行使できる男たちは、女子供相手でもためらわずに引き金を引く。森の男たちは勇敢だが知略に欠け次々と彼らの餌食になる。一方で、消防団長とサバイバル教室の妊婦という女たちは男たちより数倍冷静に状況を見極め反撃のチャンスを待っている。迫りくる炎は少しの風向きの変化でどう動くかは予測がつかない。フェミニズムにおもねった展開の中、実は無理ゲーを押し付けられている殺し屋たちが切なかった。

監視塔での任務中に落雷に合ったハンナは、ひとりで山中を歩く少年・コナーと出会う。コナーは目の前で父親を惨殺された上、自動小銃を持つ2人組の殺し屋に追われていた。

殺し屋たちはまず保安官のイーサンを訪ね、妻のアリソンから情報を引き出そうとする。アリソンは巧みに脱出するがイーサンは殺し屋に捕まりガイドをさせられる。そして、停電で機器が使えなくなった監視塔を舞台に生き残りをかけた戦いが始まる。ただ、50年前の映画ならばこの流れでも通用するだろうが、もう二転三転させないと現代の映画ファンは満足しないだろう。もっとアクションと仕掛けに工夫がほしかった。それにしても、コナー父子は北米大陸を横断するのに何十時間ドライブしたのだろうか。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

山林という自分たちにとってホームでの戦い、ならば地形や風の向き、山火事の炎を利用した戦術があったはず。ヘレンが砂袋を正確に投げたりトラックの荷台で開傘したりという導入部の出来事がまったく伏線として生かされていない原始的な決着の付け方には、開いた口がふさがらなかった。そもそも天候が変わりやすい山で落雷など日常茶飯事のはず、監視塔に備えがないのはいかがなものか。

監督     テイラー・シェリダン
出演     アンジェリーナ・ジョリー/ニコラス・ホルト/フィン・リトル/エイダン・ギレン/メディナ・センゴア/タイラー・ペリー/ジョン・バーンサル
ナンバー     158
オススメ度     ★★


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