こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

キャッシュトラック

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平凡な男のはずなのに、ひとりで強盗団全員を倒してしまった。別の武装強盗団は、彼の素顔を見せた途端に尻尾を巻いて逃げ出してしまった。彼はいったい何者なのか、何が目的なのか。物語は、現金輸送専門の警備会社に加わった警備員の復讐を描く。不愛想で眼光鋭く感情を見せない。行動に無駄がなく特別な訓練を受けていることをうかがわせる。身の上話は一切しない。銃を向けてくる者に対しては躊躇なく弾丸をぶち込むのに、家族への愛は誰よりも強い。一度決めたことは何があってもやり通す鋼鉄の意志。謎だらけの過去が少しずつ語られていくなかで、彼の本当の目的が明らかになっていく過程は驚きの連続だ。そんな主人公はまさしくジェイソン・ステイサムのために創造されたキャラクター、期待通りに活躍するが予想を裏切る展開に、思わず息をのむ。

入社試験をぎりぎりでパスしたHだったが、現金輸送車が襲われると圧倒的な戦闘能力を見せる。彼はFBIの捜査対象になっている一方で、左目の上に傷のある男とその組織を探していた。

他人のカネより命の方が大切とばかりに、強盗団に包囲されるとすぐに同僚は逃げ出す。それを尻目に、Hは表情一つ変えずに襲撃してくる強盗を処刑していく。自分に歯向かう者は絶対に許さない、いや生かしてはおかないという固い決意。実戦経験豊富なアフガン帰りの強盗団を相手にしても一切ひるまずにひとりまたひとりと血祭りにあげる。次々と繰り広げられる銃撃戦はスリリングかつエキサイティングで、銃器の扱いに長けた男たちの洗練された所作がリアルに再現されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて警備会社に集められる大金を狙った計画が実行に移される。裏切り者がいる。探し続けていた仇がいる。真実を知るためにHは一つ間違えれば殺される状況に飛び込み、逆転のチャンスをうかがう。ギャングよりも狡猾でスパイよりも偽装がうまく傭兵よりもスキルは高い。決して善人ではない、なのに神が宿っている。矛盾しているのに納得してしまう、Hは21世紀の新たなヒーロー像を提示していた。

監督     ガイ・リッチー
出演     ジェイソン・ステイサム/ホルト・マッキャラニー /ジェフリー・ドノバン/ジョシュ・ハートネット/スコット・イーストウッド/ナニアム・アルガー
ナンバー     180
オススメ度     ★★★★


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