こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

神在月のこども

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いつも一緒に走ってくれたやさしいお母さん。でも、目の前で突然倒れそのまま逝ってしまった。物語は、神の御馳走を集め奉納する役目に選ばれた少女の旅と成長を描く。お母さんの形見の勾玉を身に着けたとたんに世界が一変した。見えなかったものが見え、聞こえなかった声が聞こえるようになる。時間が止まったかのように感じるのに、自分の肉体は普通に動く。不思議な能力を手に入れた彼女は、ライバルに叱咤され仲間に激励されながら目的地を目指す。その間、変わらないのは母への思い。言えなかった謝罪や伝えられなかった感謝、神様ならきっと願いをかなえてくれると信じて進み続ける。映画は小学生向きでややこしい内容ではない。他者への思いやりとあきらめない強い心があれば未来は明るいとストレートに訴える。

先祖代々韋駄天の血を引くカンナは今年の大役を任される。白うさぎと夜叉を従え、東京からの道中、さまざまな神社に立ち寄って地元の神々から貢物を預かり、出雲で開催される祭りへと急ぐ。

雨粒が空中で静止し、動いていた人やクルマや動物まで固まっている。その空間で普段通りにふるまえるのはカンナと神と神にかかわる生き物だけ。だが究極の自由を味わう間もなく、カンナは800キロの道のりを自力で乗り越えなければならない。途中、夜叉が何度もちょっかいを出してくる。気難しい神をなだめたりもする。白うさぎはアドバイスしてくれるだけ。その過程でカンナは、自分で決断し行動し結果に責任を持つということを学んでいく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、画のクオリティには逆の意味で目を見張った。カンナが走るシーンは明らかに体格と歩幅があっておらず、背景も20世紀のアニメを見ているようなシンプルな出来栄え。龍神がカンナを前に話すシーンなど、下あごとヒゲしか動いておらず、もはやこれでは手抜きと呼んで差し支えない。新海誠細田守などの、画とサウンドに細部まで徹底的にこだわった作品ならば映画館で見る価値はあるが、この作品はTVの地上波鑑賞で十分だろう。

監督     四戸俊成
出演     蒔田彩珠/坂本真綾/入野自由/柴咲コウ/井浦新
ナンバー     184
オススメ度     ★★


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