上官の命令に従って事件解決のために命を張った。とらわれた人質を無事救出した。でも暴れる容疑者を死なせてしまうと、みな手のひらを返して自分たちを見捨てた。物語は、警察本部に復讐しようとする元刑事グループと熱血警部の対決を描く。服役していた元刑事グループは鉄の結束を誇り、警察内部の動きを察知している。彼らの正体を知らない警部は犯罪組織を追い、なかなか真相に迫れない。2階から走行中のクルマの屋根にダイブしたり、バイクとミニバンを並走させながら格闘したり、轢き殺されそうな子供を間一髪救ったりetc. スピードとスリルを極限まで追求したアクションの数々は香港映画ならではのこだわりだ。生身の肉体からほとばしるエネルギーと受けたダメージよる痛みをリアルに体感させてくれる。
麻薬取引現場に警官隊が踏み込むが、そこにいた関係者全員が殺された上麻薬が持ち去られる。当日、担当を外されて無事だったチョン警部は捜査のためにギャングのアジトに単身乗り込む。
事件はンゴウ一味の仕業と早々と種明かしされ、ンゴウの動機も明示される。ゆえにチョンが事件の謎を一つずつ解き明かして犯人に近づいていくミステリー仕立てとはならない。むしろ、信じていた価値観に裏切られたンゴウたちの絶望が、やがて怒りと憎しみに変わっていった過程に共感すら覚えてしまう。正義感が強く正直さを貫くがゆえに警察組織内で浮いているチョン。彼同様に職務に忠実だったのに思いが反転してしまったンゴウ。真面目過ぎるがゆえに正道から外れてしまった2人の関係が切なく哀しい。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
警察の手口を知り尽くしているンゴウ一味は、チョンたちの取り調べにも一切動じず、さらなる復讐の牙をむいていく。失うものがないンゴウたちは少しでも多くの損害を警察に与えるのが最優先事項とばかりに、生き残る余地のない暴挙に出る。逃走しながら銃撃するンゴウと追跡しながら応戦するチョン、どちらかが死ぬまで戦いは終わらない。真実は時に恨みを買うとこの作品は教えてくれる。
