こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マークスマン

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スコープの先に捕らえたものは一撃で仕留めるスナイパー。だが今は妻に先立たれた喪失感に苛まれ、生きる意欲を失っている。そんな時託されたひとつの命。物語は、カルテルの殺し屋に追われる少年と彼を保護した男の逃避行を描く。警察には頼れない。カルテルは十分な人的資源とハイテクを投入してしつこく追いかけてくる。目的地は2700キロの彼方、そこまでおんぼろピックアップトラックを運転しなければならない。それでも、人生の終盤を迎えた男は、少年を守ることにもう一度生きる希望を見出していく。武骨で不器用だが正義感は強いタフなオッサンをリーアム・ニーソンが型通りに演じ、丸く大きな目に瞳を輝かせる少年の期待に応えようと奮闘する。デジタル化・情報化の進んだ現代、逃走時の支払いは現金に限るとこの作品は訴える。

米国境を不法越境した後死んだ女から息子・ミゲルを託されたジムは、母子の親戚が住むシカゴに向かう。メキシコからは腕利きの殺し屋・マウリシオが送り込まれ、ジムたちを追跡する。

メキシコに送還されるとミゲルは殺されると知ったジムは、当局からミゲルを無断で連れ出す。最初の銃撃戦で弟をジムに殺されたマウリシオはミゲルを確保する以上にジムへの復讐に燃えている。カード利用履歴からジムの足跡を洗い現在地の目星をつけていくあたり、広大な米国のハイウェイ網の中でもある程度のヒントがあればすぐに追いつけるところが恐ろしい。追手に気づいてもあえて偽装工作などせずマウリシオたちと対決するジムの覚悟は、危機にさらされたとき “男” としてどう振る舞うべきかを教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて農場で最終決戦がはじまる。ジムはマウリシオたちと闘いながらもミゲルを守らなければならない。マウリシオたちもジムの待ち伏せを予想しながらも後に退けない。殺人を何とも思わない偏執狂だったマウリシオがミゲルを前に己の身の上を語るシーンが、犯罪の世界しか知らない男の哀しみを象徴していた。ジムの銃弾はマウリシオの魂を救済したのだろうか。。。

監督     ロバート・ローレンツ
出演     リーアム・ニーソン/キャサリン・ウィニック/フアン・パブロ・ラバ/テレサ・ルイス/ジェイコブ・ペレス
ナンバー     4
オススメ度     ★★★


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