こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハウス・オブ・グッチ

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セクシーなボディと蠱惑的な瞳、狙った男は必ず落とす。押しの強さは誰にも負けず、己の欲望のためには手段を選ばない。物語は、高級ブランド創業者一族に嫁入りした女がもたらす悲劇を描く。積極的に世界進出を進める兄とセンスを磨く弟が経営する世界的企業、跡取り息子はいまだ将来を決めかねている。そんな青年と結婚したヒロインは、ブランド自体を乗っ取ろうと画策する。男たちを手玉に取り、少しずつ自分が望む方向に手なずけていく才能は不気味なくらい。甘い言葉に唆された創業者一族は策略にはまり、身を滅ぼしていく。予想通りに進む展開は、プロの作家なら絶対に採用しないベタなエピソードばかり。まさに “事実は小説より奇なり”、欠点だらけのキャラクターと重厚なカメラワークがセレブの通俗性にリアリティを与えていた。

グッチ経営者の父に結婚を反対され家出したマウリッツォはパトリッツァの実家に転がり込む。その後、ふたりは共同経営者の伯父・アルドの元に身を寄せ、マウリッツォはビジネス修行を始める。

NYで大量の模造品を見つけたパトリッツァはアルドに取り締まるよう進言するが、アルドは取り合わない。まだコピーライトにうるさくなかった時代のブランド側の意識がうかがえる。そのころから占い師に洗脳されたパトリッツァが、アルドとその息子・パオロの不仲を利用して彼らの追い落としを画策する。海千山千の業界で成功したアルドの息子に対する甘さを、パトリッツァは突くのだ。彼女が放つ言葉の毒に心と思考を乱された男たちが破滅していく過程は、シェイクスピア悲劇を見ているようだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

晴れてグッチ帝国を手に入れたマウリッツォだったが、今度は資金難に追い込まれた上、身内を犯罪者に仕立て上げたパトリッツァに対して不信感が芽生える。父の代から仕えていた代理人の不穏な動きも気になる。経済がグローバル化した90年代、古い経営方針は新興の投資家たちの餌食にされていく。華々しいブランドの陰に潜む真実はあまりにも人間臭かった。

監督     リドリー・スコット
出演     レディー・ガガ/アダム・ドライバー/ジャレッド・レト/ジェレミー・アイアンズ/ジャック・ヒューストン/サルマ・ハエック/アル・パチーノ
ナンバー     9
オススメ度     ★★★★


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