こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ノイズ

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犯罪は起きない。悪い人はいない。住民全員が顔見知りの小さな島、警察官も微細なトラブルを見て見ぬふりをする。物語は、元受刑者を誤って殺した島の男3人が、事件のもみ消しを図り、島民を巻き込んでいく過程を描く。死んだのは身寄りのないはぐれ者、死体さえ隠し通せばなんとかなるはずだった。ところが別の事件が発覚したことから翌日には警察の一斉捜索が始める。家族を守りつつ島の人々の期待に応え、秘密と嘘を抱え込む。そんな男は幼馴染2人の協力で精神的に強くなっていく。それでも隣人は隣人に目を光らせ、刑事は何事にも疑いをかけて揺さぶってくる。取り返しのつかないことをしたけれど、もう後には引き返せない。弱気の虫を振り払って勇気を振り絞り真実を隠し通そうとする3人の男の葛藤がリアルに再現されていた。

保護司を殺害して逃亡した男が、圭太のイチジク農園に現れ小競り合いになった末に転倒死する。幼馴染の純と新人警官の真一郎は隠ぺいを画策、とりあえず純の害獣解体作業場に死体を隠す。

保護司殺人事件で捜査本部が立ち上がるが、犯人は見つからない。事件をかぎつけた町長が純の作業場に押し入って真相を聞き出すが、特別交付金のために圭太を犯罪者にはできない。その後も死体は増え続けるが、島民はみな圭太を救世主のように崇め、島全体で加担する。そのあたり、たいした産業もない村人が全員、自分たちの生活を守るために自発的によそ者を排除するなど、田舎のコミュニティ独特の閉鎖的な慣習が前面に押し出される。良くも悪くも地縁血縁で結ばれた世界、法よりも村全体の「和」が優先されるメンタリティがじわじわとしみ出すような演出に背筋が寒くなった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

圭太や純の態度に疑問を持った刑事はしつこく彼らに付きまとうが決定的な証拠は何もなく、鎌をかけたりもする。ところが、小心者の真一郎は精神的に追い詰められていく。いくら平和な島といえども、嫉妬や恨みは誰にでもあり、人間関係には必ず齟齬が生まれるとこの作品は教えてくれる。

監督     廣木隆一
出演     藤原竜也/松山ケンイチ/神木隆之介/黒木華/伊藤歩/ 渡辺大知/永瀬正敏/余貴美子/柄本明
ナンバー     21
オススメ度     ★★★


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