こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホテル・アイリス

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裸のまま後ろ手に縛られた少女は、口で引き出しを開け靴下を取り出し初老の男に履かせる。その後も、彼と逢瀬を重ねるたびに、服を脱がされ体の自由を奪われた上に命令に従う。心と体を支配される快感に抗えない彼女はいつしかその男に、死んだ父の面影を重ねていく。物語は、台湾の小さな街のホテルで働く娘が、近くに滞在する翻訳家に調教されていく過程を描く。ダイヤル式の電話、連絡手段は手紙、移動は小舟。まだデジタル機器がない時代、男と女は実際に会って相手の気持ちを確かめていた。愛の言葉も口に出して伝えていた。だからこそ成り立つ、男と女、母と娘、叔父と甥のミステリアスな関係。誰もが秘密を抱えている。嘘をついているかもしれない。だからこそ、快楽に忠実でいたい。そんなヒロインの歪んだ欲望が抑制されたトーンで再現されていた。

日本人の母が経営するホテルを手伝うマリは、嵐の夜に男が売春婦を殴打するのを目撃する。後日、マリは男を街で見かけ尾行する。彼は孤島にひとりで住む日露語翻訳家で、マリは彼の家に招かれる。

マリと翻訳家が繁華街を歩いていると、赤い服を着た売春婦が翻訳家に向かって罵詈雑言を投げかける。その後ふたりがレストランに行くと、予約したはずなのに名前がないと案内係に追い返される。日本人が同胞を買うというのは台湾人にとってやはり不愉快なことなのだろう、親日派が多数の台湾でも振る舞い次第では日本人でも嫌われる。その後、翻訳家によからぬ噂が立つが、マリとの関係が問題にならないのは、日本人の血が混じっているからか。よそ者に対する厳しい目はどこの国でも同じなのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も、マリは翻訳家からの呼び出しを待ち続け、風変わりなプレイは続ける。一方で翻訳家はマリに口がきけない甥を紹介したりする。翻訳家にいたぶられるマリ。甥の若い肉体をむさぼるマリ。2人の男と並行して関係を持つ彼女は、相手の肉体と心を通じて本当の自分探しをする。その問いに答えはないという真実が提示されるだけだが。。。

監督     奥原浩志
出演     永瀬正敏/陸夏/菜葉菜/寛一郎/リー・カンション
ナンバー     212
オススメ度     ★★*


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