こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ボブという名の猫2 幸せのギフト

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日々の収入は小銭の投げ銭頼り。飼い猫の世話もしなければならない。住んでいるのは、電気製品を使うのにもプリペイドカードが必要なホームレス向けのボロアパート。そこでの極貧生活からなかなか抜け出せない。物語は、まったく売れないストリートミュージシャンが猫の相棒とともに寒さ厳しい季節を乗り越えていく姿を描く。自己主張ばかりが強く官憲からはよく思われていないけれど、声をかけてくれるファンもいる。そんな、自由を愛し猫との生活を大切にする若者が周囲の人々に助けられるうちに、困ったときは誰かに頼ってもいいと気付く。その過程は、コミュニケーションの取り方次第で人生は結構うまくいくと教えてくれる。ロンドンではペットを飼うにも飼い主は審査され、時に当局の規制を受ける。その動物愛護精神が法律により保障され専門の役所があることに驚いた。

数年前のクリスマスシーズン、ボブと暮らすジェームズは貧困にあえいでいた。ボブとの路上ライブで日銭は稼げたが、動物愛護局からボブの虐待を疑われ、さまざまな調査を受ける。

ライブのほかに「ビッグイシュー」という雑誌を街頭で手売りしているジェームズ。地下鉄の出入り口など往来の激しい場所では縄張り争いもあり、同業者との関係はギスギスしている。一応NPO団体のボランティア・ビーとは仲良くしているが、彼女の気持ちを平気で踏みにじったりもする。それでも、ボブを通じて他人とかかわっていくうちに、ジェームズの中に責任感が芽生えてくる。“世話をする相手がいることで成長できる” という言葉通り、ジェームズもまたボブのために奔走することで他人を思いやる心を芽生えさせていくのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、エピソードやキャラクターがEテレのドラマみたいな設定と構成の上、演出も編集も平板で感情的にも盛り上がりに欠ける。クリスマスの心温まるストーリーに仕上げようとする試みは理解できるが、内容はまるで子供向けだった。前作を見て期待していた観客は肩透かしを食らわされた気分になるだろう。

監督     チャールズ・マーティン・スミス
出演     ルーク・トレッダウェイ/クリスティーナ・トンテリ=ヤング/ファルダット・シャーマ/アンナ・ウィルソン=ジョーンズ
ナンバー     55
オススメ度     ★★


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