廃墟だと思って侵入したら管理人がいた。だが、廊下も階段も通された部屋も掃除された跡はない。それでも引っ越しの下見と言うと、住民総出でもてなしてくれる。物語は、死への恐怖から不眠症になった女子大生が友人たちと共に心霊団地を訪れ、数々の超常現象を体験する姿を描く。どこか不穏な空気をまとう人々はカルト集団のように統率が取れている。突然建物が揺れたり、原因不明の音が発生したりする。さらに、親切に接してくれた住人が飛び降りる。何が起きているのか。誰かが操っているのか。いつしか一緒に来た友人たちも彼らに感化されている。狂っているのは彼らなのか、それとも己の感覚なのか。ヒロインは真実を知るために戦う決意をする。死後の世界は生きている者と背中合わせに存在するとこの作品は訴える。
ロケハンのためにオカルト団地を訪れた史織、真帆、啓太の3人は管理人に空き部屋を紹介される。夜、彼らの歓迎会が開かれるが、ホラー映画を企画しているというと急に場が白ける。
住人のリーダー・浅野は、変な噂が立って迷惑していると史織たちに言う。また彼女は、死に関して独特の持論を持っていて、真帆は早々と彼女に心を操られてしまう。浅野を信じない史織は、ポルターガイスト現象はすべてやらせと言い切り、啓太にカメラを回し続けるよう命じる。得体のしれないモノがすぐそばにいる恐怖に耐えられない啓太は団地を去ろうとするが、最後まで見届けたい史織は浅野との対決姿勢を鮮明にしていく。いかにもなジェンダー配慮以上に、史織のダークキャラが生きていた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
仲良くなった子供の飛び降りを機にとらわれの身となった史織だったが、団地の集会所で恐るべき行為が行われているところを目撃、浅野たちが狂気の集団であると確信する。細身の史織が大人の男を相手に立ちまわるなど、設定と展開にはかなり強引なところもあるが、この作品の「恐れず普段からきちんと受け入れる準備をしていれば死は穏やかに迎えられる」という主張は心を安らかにしてくれる。
監督 後藤庸介
出演 萩原みのり/山谷花純/倉悠貴/岡部たかし/筒井真理子
ナンバー 79
オススメ度 ★★*
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